雲ノ平と高天原を巡る山旅 (後編)
「黒部五郎カールを歩く」
「絶景山岳野営旅」 第3弾 雲ノ平と高天原を巡る山旅 (後編)
初日に一気に雲ノ平まで歩いた疲れは一晩眠って休んでだいぶ回復しました。
テント泊装備ってのは便利なものですよね。
天候の急変や体調不良でそれ以上の行動が無理だとしても条件の良い場所さえあれば最悪の場合どこでも我が家にすることができる。非常手段、いわゆるビバークっていうやつですか。それができる。ザックに衣食住すべてを詰め込んで歩くのは大変だけどそこが楽しかったりもするんです。ほんと重いけど。
テントについて以前こんな話を聞いたことがあります。五竜岳のテント場は稜線にあって強風がつきものですがあるとき夜半からかなりの風雨になってテント泊者は小屋に避難しました。夜が明けてテント場に戻ってみると大半のテントが潰れたりひしゃげたりしていた中でモンベルのステラリッジとアライのトレックライズやエアライズだけがダメージなくそのまま立っていたそうです。やっぱり国産メーカーのテントは日本の山によく対応して作られていることを知った話でした。
強風が予想されるときのテントの張り方としてガイロープをポールの交差する点で結びテントを上から抑えるようにして四隅の大きめの石か岩に巻き付けて固定する方法があります。めったにやらない手段ですが参考までに..。
テントの外を覗くともう出発して行く人たちの姿が。気をつけて行ってらっしゃい!
測ってみたら外の気温は4度でテントの中は7度です。標高の高い山の朝は八月であっても冷えます。標高2500m前後でテント泊するようになって初めてトレックライズ1の性能の高さを体感しました。北アルプスのテント場は何しろ標高が高いので下界の半分以下の気温です。朝方ともなれば下界の冬の気温。トレックライズは耐風性もさることながらダブルウォールの堅牢さと気密性の高さゆえに暖かいんです。20年以上のロングセラーも頷けます。どれだけ強い風が吹こうが安心して寝られるのはありがたいもんです。東レの中空糸「ファリーロ」を使った軽くて強靭な生地のテント。これからも愛用していきます。
昨日調べておいた北アルプス周辺の天気予報では明け方と夕方に雨が降るとのことでした。まだ降ってはいませんがとりあえず6時過ぎまではテントの中でのんびりしようと思います。
朝の珈琲。
雲ノ平の清水で淹れた珈琲はスッキリして格別に美味しいです。
今日も長い距離を歩きます。
珈琲を頂きながら30分間足を揉みほぐします。もし山小屋にマッサージサービスとかあったらけっこう流行ると思うのは僕だけでしょうか。
ハムでも焼いてぼちぼち朝飯にします。
と、ハムを刻んでいたらぽつぽつとテントを叩く雨音が。予報通り降ってきました。
徐々に強くなってきます。
さっき出発していった方々、暗い中の雨の木道は滑るので大丈夫だろうかなんて思って心配したり...。現在朝4時を回ったところです。夜明けまであと1時間半ほど。早めに雨が上がることを願います。
じゅわ~。いい匂いがしてきました。
こういうの食べると活力出ます。
あ、そうそう今回の2泊山旅でも持参したのはちっちゃい方のOD缶です。
そもそも料理しないのと、意識的にガスを節約してます。
たとえば棒ラーメンだったら無駄にお湯を沸騰させずに湯泡がぽこぽこ言う前に火を止めて乾麺を入れて5分か6分そのまま待っていれば同じように美味しく食べれたり、珈琲も60度くらいまでの湯加減で火を止めてガスを節約してます。
僕の場合、2泊3日の7食か8食でも110g缶で十分です。基本的にフリーズドライ野郎なので可能な話なだけですが...。軽くて便利で美味しいアマノフーズ様に感謝ですね。山に登る以外の日常の非常食としてストックしておいてもいいですし。ここのフリーズドライカレーはモンベル販売店でも置いてあります。
空が明るくなってきました。今日の寝床は山頂に雲がかっている黒部五郎岳の鞍部にある小屋のテント場です。あそこまで行くのか。いや~遠いな..。
そして明後日は黒部五郎の右肩から続く稜線を太郎平に向かって歩きます。黒部五郎岳の急坂を下りて赤木岳まで登り返してまた下ってまた登って北の俣岳を通って...。見えているその稜線にコースのイメージを重ねました。
5時半ごろ雨が上がりました。それを待っていたかのように一組、また一組とテントを畳んで出発して行きます。みなさんの旅のご無事をお祈りします。
午前6時半過ぎ。
一番最後になりました。
ぼちぼち僕も準備して出発しようと思います。
ちなみに今日のルートは..
- 雲ノ平山荘まで戻って最新の天気や道の状況を確認する
- 高天原峠まで下って高天原山荘へ
- 山荘に荷物をデポして温泉ピストン
- 岩苔分岐を水晶池方面へ
- 岩苔乗越から黒部川源流の碑方面へ下る
- 碑から三俣山荘キャンプ場方面へ登り返す
- キャンプ場を通過して三俣蓮華岳巻き道ルートへ
- 黒部五郎小屋
全行程でだいたい16Kmくらいの道のりです。
標高2500mの雲ノ平から2000mの高天原まで降りて2700mの岩苔乗越まで登り返します。そこから2450mの黒部川源流碑まで下って2600mの三俣山荘キャンプ場まで上がる...。距離もさることながら高低差もめまぐるしく変化する一日になりそうです。
雨が上がってガスってますね。では出発!
どんよりしていても絵になる風景です。あらためて雲ノ平に来ていることを実感します。雲に包まれた溶岩台地。まさに雲ノ平ですね。
きっとまたいつかここに来よう。
そんなことを考えながら歩きました。
山荘で確認したところ天気は回復していく予報でした。
ちなみに明日は午前中は晴れ予報です。いいぞいいぞ。高天原峠までの道はそこそこに険しいので足元に注意した方がよさそうです。梯子も登場するとか。雨やら朝露に濡れた二日目のテントは重くなります。さらに重くなったザックを背負って梯子降りるのは大変そうだな...。
山荘の北側に降りて行きます。
エンジンブレーキ掛けながらって...。
丘に上がって来ました。
コロナ観測所に到着しました。この近辺だけdocomoの電波が入るそうです。山荘泊まりの人たちが下界と連絡を取りにここへやってくるそうです。
ここら辺りもまた美しいです。雲間から天使の階段が伸びています。雲ノ平の北面は奥スイス庭園と呼ばれていますが神が降臨してきそうな雰囲気のある場所です。
ハイマツの先にシラビソの森。森へ入るといよいよ高天原峠への急坂に取り付きます。
その急坂樹林帯に入りました。
樹林を下り、森を歩き、また樹林に入って下るの繰り返しです。
歩きやすい木道に出てまた森に入っていきます。
そして言われた通り梯子の登場です。梯子の先にあったのものは...
さらに長い梯子でした。
急坂を下り続けてふと前に黄色い標識が現れました。
高天原峠に着きました。左に折れれば大東新道、右に行けば高天原。
ここまでけっこうな急坂でした。今回は下ってきたからいいけど反対に登って雲ノ平に行くのはかなりキツイんじゃないかな。せっかく温泉入っても汗だくになりそうです。
とは言え岩苔乗越周りだと長々と2700mまで登るのでそれも大変。薬師沢小屋からの急登も大変。結局雲ノ平はどこから上がっても大変ってことですね。
行く先の道を朝日が燦燦と差し照らしています。
透き通った沢を渡り
開けた草原の中の木道を歩き
立ち枯れのシラビソ林とその向こうの薬師岳を仰ぎ
やがて広い草原に出ました。
とても静かです。
どうやら高天原に着いたようです。
確かにそんな厳かな雰囲気があります。
シラビソの森に守られているかのように山荘が立っています。
山荘の方に挨拶を済ませてザックをデポさせて頂きます。
タオルと水、カメラの3つだけ持って温泉へ向かいます。この先に誰もが憧れる歩いてしかたどり着くことが出来ない日本一遠い温泉があるんだ。そこまで来たんだ。そう思うと足取りはまた軽くなります。
15分ほど下って
ついに温泉に到着しました。
ほんと遠かったです。まさに秘湯中の秘湯。
もうワイルドにいっちゃいました。これはかつて感じたことのない感動です。最高に気持ちいい。北アルプスの最深部。誰もいない山奥。そこで真っ裸になってこれまでの疲れを吹き飛ばす。そりゃもう最高です。
二つ目の目的を達成しました。
一個ずつ目的を自分の足で達成して行く喜び。
それがロングルート山旅の冥利です。
ありがとう高天原温泉。神々に感謝。風呂を出て山荘にデポさせて頂いたお礼と水の補給をして元来た道を分岐まで戻ります。
岩苔乗越まで標高にして700mほどの高低差を3時間かけてじっくりと登って行きます。
50分ほど歩いていくと水晶池の案内板が現れました。
黒部五郎小屋まではまだまだ長いので今回はパスします。
岩苔乗越への道は水晶岳に沿って森の中を進んでいきます。途中何度もダケカンバがいやらしい高さで道を邪魔してきます。10回以上は頭をぶつけたかと思います。
乗越まで3分の2あたりまで来てお昼休みにします。行動食のカロリーメイトを2本食べて水をたっぷり飲みました。
10分ほど足を休めてから出発です。
樹林帯を抜け沢の音が近くなってきました。
岩苔小谷を流れる沢。
この沢の源頭は岩苔乗越の上、鷲羽岳の北隣にあるワリモ岳の斜面から染み出しているそうです。高天原方面へ流れ下ってやがて上の廊下の立岩で黒部川に合流していきます。ここも黒部の最初の一滴なわけですね。立岩も「黒部の山賊」で出てくる地名ですが実際に歩いてみると如何に山賊たちの足が速かったことを思い知ります。「ちょっと立岩に岩魚を釣ってくる」と三俣から行っちゃうんです。ほんとに自分の庭みたいにして歩いていたわけですよね。しかも草鞋で。ほんと凄い脚力です。
高天原から3時間。ようやく岩苔乗越に出ました。たぶんですけど乗越(のっこし)って稜線に出るところのことですよね。雲ノ平から祖父岳を経由してワレモ岳分岐に向かう稜線の途中にあるのがこの岩苔乗越です。標高2700m以上の位置にある乗越は初めてです。
振り返って登ってきた岩苔小谷と水晶岳の斜面を眺めます。いや絶景かな。
水晶の頂きからの雲ノ平もいつか眺めてみたいな。
では乗越の先へ。今度はここから一気に300m以上下りて黒部川水源地標を目指します。せっかく登ったのにな~って気になります。
下りた先でまた正面に見えている三俣蓮華岳まで上がるわけです。
左端の鞍部に三俣山荘が見えます。その右隣辺りにあるキャンプ場まで登り返す…。たいへんだなぁ。
50分かけて下りてきました。そして40分かけて登り返します。地味にキツイ。
三俣山荘キャンプ場の裏手に出ました。ついひと月前泊まった場所がすでに懐かしいです。
やっぱきれいだな。三俣山荘と鷲羽岳。
さらにキャンプ場から三俣蓮華岳の北側巻き道へと進んでいきます。
まだ残雪があります。
20分も歩いて振り返るともうあんなに山荘が小さくなっています。
しっかしこの場所…平らだし景色いいし絶好の幕営地じゃないですか。
「黒部の山賊」を読んでなかったら思わずここに張っちゃいそうです。でも本に書いてあったように三俣周辺を含めた黒部一帯はツキノワグマの生息域。本の中で昭和の頃の三俣山荘に毎日のように現れたという熊が玄関から顔を覗かせる写真があります。伊藤正一さんはその熊がある日から来なくなったことを寂しがっていましたが凄い話です。北アルプスはその頃とは違って桁違いの登山者が山に登るようになり、そんなことはまずありえないしだいぶ状況も変わってるんだろうけどやっぱりここで一人幕営ってのは怖い。別に緊急事態でもなければ興味本位のビバークなんて避けるべきだと自分に言い聞かせて先に進みます。
山岳地帯は指定されたテント場で寄り添って野営するのが一番安心ですね。
途中黒部五郎小屋の方から三俣に向かって歩いていく方と何度かすれ違いました。お互いにこの先の道の状況を教え合います。
遠くに見える雲ノ平をスマホでズームアップ。肉眼では雲ノ平山荘の赤い屋根が見えてるんですがわかりませんね。
今日の朝7時にはあそこにいたんだと思うと不思議な感覚です。
三俣の方を振り返るとけっこうな急斜面に道が付けられていることがわかります。
やがてでっかい黒部五郎岳の雄姿が目の前に現れました。遠くで見るよりはるかに大きい。その大きさに感動も一入です。明日はあのてっぺんに登るんだ。
その先岩の道に変わってどんどんと下に降りていきます。
そして三俣から2時間ほどで黒部五郎小屋に到着です。
ここも綺麗なところです。
いやぁ~二日目も無事に歩き切ったぞ。
長かったぁ~。。
下りて登って下りて登っての繰り返し。やればできるじゃないか。
この旅初めての生ビール(1000円也)で祝杯です。
しみる~っ。
あぁりんご美味しそうですな。
ビールもたんまり。
宝船か。
テント泊の受付を済ませました。
この小屋は双六小屋や鏡平、ワサビ平と同じグループ だけあってトイレが超綺麗です。無臭。これには驚きました。
トイレを済ませて戻ると...
なんとホーボージュンさんに出会っちゃいました。いつも「山と渓谷」のGTRやPEAKSで連載記事を読んでるその著者に出会えるなんて超ラッキーです。
テントを設営しに行きます。
テン場は南に少し行ったところ。
まず見えるテン場。
その下にもあります。
下段サイトの岩陰に張りました。
ここなら風除けになる。
なによりまっ平です。
ペグもよく刺さる。
山のテン場でここまで快適楽勝にテントを張れたのは初めてです。
黒部五郎小屋のテン場最高です。
さっきのホーボーさんご一行も下段サイトに。
下段サイトは僕とご一行だけになりました。
設営を済ませて晩飯を食べているとホーボーさんたちが一緒に食べようと誘ってくれました。
当然行きます。
ジェットボイルで夕飯を仕込むホーボーさん。僕は真ん中。右隣りの方はなんとPEAKSの編集長の朝比奈さんでした。
めっちゃ愛読書のピークス。毎号欠かさずに読んでます。まさかそれを編集しているご本人や大好きな旅人、ホーボーさんと一緒に酒が呑める夜にありつけるなんて思いもよらなかったです。
いやはやこれは夢か。
たまたまこの日に黒部五郎を目指して歩いてきたらこんなサプライズが待っていました。
山のこと。旅のこと。音楽のこと。色んな話をしました。
僕が岐阜でウクレレ職人をひとりでやっていることを話すとなんとホーボーさんも郡上に縁があったりして..。
家から持ってきたスキットルのワインはあっという間に空になり、朝比奈さんに太郎平小屋から持ってきたというモルツを頂いてまたグビグビっと。
朝比奈さんにもらったドライトマトが感動的な美味さでした。家帰ったらマネして作ってみよう。
そのうちウクレレ一本編集部に送りますと約束して楽しい夜は過ぎていきました。
ちらっと自分の工房情報...
酔いも回って心地よく眠りにつきました。
明日はいよいよ最終日。
黒部五郎岳に登って、そして折立に帰る。
怒涛の3日間、50Kmの山旅は佳境に入ります。
岩陰に守られた平らな今夜の寝床は安心感満点。
今夜はゆっくり眠れそうです。
(マクロレンズで壮大な宇宙を撮影。無理があった)
朝6時に遅めの起床。
爆睡しました。いつもながらスタートの遅いやつです、僕は。
たいがいの登山者はみな夜明け前後にテン場を発っています。
それも自分らしくのんびりと行けばいいやなんて言い聞かせてモーニングブレイク。
6時半をまわり
45分にやっとテントを片付けて
すっかり誰もいなくなったテン場を後にして小屋に向かうと途中で景色を撮影している人が。
小屋のスタッフさんでした。今朝は初霜だったらしく朝は今シーズン一番の冷え込みで2度だったと聞きました。
テント寒くなかったですか?と聞かれましたが全く平気でした。
8月下旬の北アルプスはもう秋の気配。
振り返ったテン場方向は青空の下に笠ヶ岳があまりにも綺麗です。
トイレを済ませてくると同じく出発前のホーボーさんご一行とまた会いました。特に明日の朝は何時に出発とか聞いてなかったんですが同じ最終組と相成りました。ご一行は三俣方面へ。僕は黒部五郎岳方面へ。ここで記念撮影をしてお別れです。
いい体験をさせて頂きました。
感謝です。
ホーボーさん、朝比奈さんありがとうございました。
黒部五郎カールに向けてしばらく草原の中を歩いて行きます。
出発が7時をまわって遅かったためか誰とも会いません。
一人、カールを目指して歩きます。
ついにやって来ました。黒部五郎カール。
氷河の記憶。
僕の稚拙な写真(全部マクロレンズという暴挙)じゃ100分の一の感動も伝わらないですが物凄いスケールの大きさです。
「壮大」とはこの景色のことじゃないか。先月三俣蓮華岳の稜線から遠望した姿からは想像できなかった美しさです。
立ち尽くしてずーっと眺めていました。
しばらくしてカールの草原の先に一人の登山者を見つけました。さっきまでカール全体に見とれてその景色の中に人がいることに全く気が付きませんでした。
だんだん大きくなるその人影。色や姿がはっきりとするにつれ、それが誰なのかはたと気づきました。
見覚えのある後ろ姿。
軽快な足取り。
朱色の山岳帽にオレンジのザック。
そうです。初日に守りに入っていた僕を雲ノ平まで引っ張って行ってくれた方です。
思わず嬉しくなります。
雷岩で追いつくとやはり初日にお世話になった彼女でした。
僕が高天原に行っていた頃は水晶岳に登っていたそうです。そのまま鷲羽岳に登って昨日は三俣山荘に泊まり、今朝5時過ぎに黒部五郎を目指して歩いてきたようです。
雲ノ平でお別れしたときにはその後の日程をお互い何も知らせず仕舞いだったのでこの再会には驚きました。
雲ノ平からの道はいくらでもあります。彼女はバスで折立登山口に来ていたのでどこへでも降りることが出来るプランで縦走していました。
なんか今回の山旅は出来すぎているくらい楽しい。
また雲ノ平に上がったときと同じように他には誰もいない絶景の中で最高の時間を共有することができました。
黒部五郎の肩にザックをデポしていざ頂上へ向かいます。
空は快晴。
最高の気分です。
登頂。
雲ノ平越しの水晶岳。
ズームアップ。
雲ノ平の左の方に赤い屋根の雲ノ平山荘が見えます。
立山とその左に剣。
槍と穂高。
彼女は熟達者向けと言われる黒部五郎の稜線コースで小屋まで戻って行くそうです。
さすがクライマー。
僕は太郎平に向けて歩きます。
これでほんとにお別れです。
この晩夏。最高の思い出になりました。
ありがとう。
また一人、北の俣岳を目指して稜線を歩きます。
その途中で雷鳥に出会いました。
足元までやってきて砂浴びを始めました。
か、可愛い。
2600m前後で続く北の俣岳への稜線。
この稜線も先月見た憧れの風景の中。
そこを今、実際に歩ける幸せに存分に浸ります。
砂礫地帯の先に北の俣が見えてきました。
ここまで来れば太郎平はあと一息です。
太郎平小屋泊で黒部五郎岳をピストンした登山者がたくさん前を歩いています。
それに交じって雲ノ平を周回してきた僕はもうすぐ道を環状につなぎ終えようとしています。
2400mから徐々に高度を下げ、太郎平小屋への最後の木道を歩きます。
無事に太郎平小屋まで周回して参りました。
ここで一息入れて折立までの最後の活力をチャージします。黒部五郎岳の記念バッチもゲットしました。
お昼の軽食は14時まで。それ以降に名物のラーメンは食べれませんのでご注意下さい。
つまりそういった事情で僕はカップ麺です(今度来たら絶対太郎平ラーメン食べるぜ)。
さあ行こう。
ここから折立までの8キロは2時間でした。
午後4時半。無事に帰って参りました。
8月24日(土)折立登山口⇒薬師沢小屋から直登⇒雲ノ平キャンプ場
8月25日(日)雲ノ平⇒高天原⇒三俣⇒黒部五郎小屋キャンプ場
8月26日(月)黒部五郎岳⇒太郎平小屋⇒折立
3日間の合計50.5Km
「絶景山岳野営旅」第三弾 〜雲ノ平と高天原を巡る山旅〜 完