秋の墓の木でソロキャンプ
まだ雪の中だった1月末に来て以来、9か月ぶりの墓ノ木自然公園。
当然すっかり雪はなく過ごしやすい秋の空の下。
何度来ても本当に癒される。
18cm径で作ってもらったメタルアートフライパンで朝ごはんを作る。
夜はローストビーフに挑戦。
立山は美味い!
時が経つのも忘れてのんびりと。
良い夜です。
橋の向こうの西の空に日が沈む。
バックパックに野営道具とデイツの80。
富山はすっかり秋景色。
Solo Camping #12 [秋の墓の木でソロキャンプ]
呑んだくれ涸沢カール旅
「絶景山岳野営旅」 第4弾 〜紅葉の涸沢カール~
絶景の中にテントを張って呑んだくれる楽しさを一度味わってしまうともうどツボです。紅葉真っ盛りの時期の土日ともなれば千張りを超えるテントの花が咲くらしい超有名野営スポットに激混み覚悟で行って参りました!
午後4時に平湯の「あかんだな駐車場」に到着。狙い通り日帰り組が帰った後のようで乗り場近くの駐車場にも空きがありました。最終一本手前の上高地行きバスに乗り込みました。
今回は2泊3日の予定で初日は上高地バスターミナルからほど近い小梨平キャンプ場で前泊します。
バスに揺られること35分。
上高地に到着。対岸からアルプホルンの野太い音色が聴こえてきます。ブォーンと誰か練習しているようです。気分はハイジな世界です。
河童橋。
バスターミナルから対岸のホテル前までは観光客で溢れかえってます。日本人よりあちらの国の方々のほうが多いんじゃないか。メジャーな観光地で近年珍しくなくった光景ではありますが。
いや〜ほんとに綺麗だ。
水の色が何とも言えないです。
ターミナルからのんびり歩いて10分で小梨平キャンプ場に到着です。
おーいるいる。何語だかわからんけどワールドワイドな雰囲気になってます。
小梨平食堂。
食堂の対面で受付。キャンプ受付は午後6時までです。
日曜日の昼間の混雑を避けて夕方から前泊するにはとても良いところですね。
お風呂もありますよ。
テントで埋め尽くされている河原側とは対照的に誰もいないめっちゃ静かな林間サイト。
初日は林間キャンプと踏んでいたのでミニタープ持って来てました。林の中なら風もないのでタープ張れます。雰囲気アップ目的です。
あ、でもこれ。道中の急なゲリラ豪雨とかで雨宿りするのにちょうどいいサイズですよ。200gしかないし。低山ハイクでは必ず持ち歩いてます。ランチ場所のソロ日除スペースにジャストサイズです。ガイライン は重いやつが付いてきたのでMSRの2.4ミリのレッドラインに変えてあります。
山旅キャンプはほんと楽しいですね。ザック一つに衣食住全部詰め込んで担いで歩く。歩いた先、テントで疲れを癒す。動と静。両方あるのが良い。
今日の寝床完成です。
どんな高級ホテルよりこっちの方が好き。
お気に入りのトレッキングテーブルに麦とホップを置いてプシュっと開けちゃいます。
重いの我慢して初日は贅沢におでん。
コッヘルでおでんを温めて頂く。あぁ最幸。
上高地の静かな夜をテントの中で過ごす贅沢。
家で食べる何倍も旨いんですよ。
シメのうどん…からの
ケーちゃん!
岐阜県民はこれが大好きなのさ。
二本目のビールのおつまみに。これまた旨し。
うどんのアルミ器でそのまま作れちゃいます。
そんなこんなで上高地の夜は更けていきました。
二日目の朝。
まずは目覚めの珈琲を淹れます。
朝メシはこれ。
今日はいよいよ涸沢に向けて歩きます。
ここ小梨平から梓川沿いを明神、徳澤、横尾と歩きます。横尾からは本格的な登山道。涸沢までだいたい5時間から6時間です。
のんびりと撤収して受付棟の綺麗なトイレで身支度を済ませ...
AM4:50 小梨平出発!
AM5:30明神館に到着しました。
朝靄の向こうに明神岳。
穂高連峰のモルゲンが綺麗です。
AM6:10 徳澤通過。
AM7:00 横尾に到着。
ここに前泊して翌朝から涸沢を目指すグループが多かったです。ほとんどは小屋泊組なのでテント場の混雑に影響はないということで一安心。
ここから涸沢まで三時間弱。まだ人もまばら。
上高地バスターミナルから始発組が上がってここにたどり着くのは早くてもあと二時間弱あと。前泊して渋滞回避作戦は今のところ順調。
横尾のメインテント場。徳澤と違ってちょっとワイルドな雰囲気。
いやっほぅ。良い天気!
橋下の横尾のテン場を横目に橋を渡ります。
横尾で前泊したグループの列に追いつきました。ちらほらとテン泊組もいますね。でも今日は日月泊だからテン場は余裕あるはず。
標高を上げるにつれて段々と紅葉の具合が進んでいきます。
真夏の小池新道や岩苔小沢の道で散々頭をぶつけたダケカンバも黄葉してます。
日曜日に涸沢泊の降りてくる人の数の多さに驚きました。ここまで軽く千人以上すれ違ったと思う…。
いやぁ~ほんとにきれいだ。
あと一息!
出た!
憧れの場所の一つ涸沢に到着。
まずは涸沢ヒュッテ。
おっさんカットインで写り込んでしまったけど涸沢カールだー!
土日組も帰ってテント場は空いています。日月組はまだこれから。前泊作戦は成功です。
ここをキャンプ地とする!
このレンタルコンパネ(500円)のおかげで快適野営が約束されます。
設営完了!
うつくしい...。
輝くナナカマドのメインストリートをヒュッテに向かって歩きます。
ヒュッテで到着祝いします。
何にしよかな。
やっぱヒュッテはおでんだね。
いやぁ最幸!
涸沢ヒュッテ到着祝い。
朝からけっこう呑んじゃいました。時間もたっぷりあるのでカールを散策します。
いやぁ噂に違わぬ絶景です。
吊り尾根方面をてくてく。
涸沢槍方面をてくてく。
みんなカメラタイムを楽しんでるようです。
ではそろそろ二軒目行きます。
涸沢小屋へ。
まだお昼前なのでこちらも空いてます。
ソフトクリーム…。いや、ここはまた生とモツ煮で逝きます!
山岳呑み屋ですな。
マムートジョッキにサッポロ生ビール。青空に乾杯!
800円もしたけどうめぇ!
この景色眺めながら生ビールなんて最幸。また何杯もいっちゃいました。
テン場に戻って参りました。
テント脇に三次会の会場をこしらえました。
スキットル酒で一杯やります。
続いて缶ビール。
昼までに一体どれだけ呑んだか覚えてません。
午後は少しずつテントが増えてきました。それでも300張くらいです。
日が暮れ始めました。
夕陽は奥穂高の向こうです。
ヘリノックスにどかっと座って濃くなるダークオレンジ色の夕空を眺めながら呑む。
はぁぁ~最幸。。
これが噂の涸沢名物、テント村の灯り!
前日の三分の一でもこれだけ綺麗。大満足です。
しっかし SONYのデジタル一眼入門機 α5100でもこれだけ綺麗に撮れるもんですね。α7とかだとどうなっちゃうんだろ。すんげぇな~。
午後9時を回り一つ、また一つとテントの灯りが消えていきます。そろそろテントに戻ろうかな。
おやすみなさい。
朝5時。
昨日さすがに呑みすぎて4時には起きれませんでしたがよく眠れました。
ツマミばっかりだったので朝からガッツリ松茸ごはん。
んまい!
珈琲とデザート。このセブンのワッフルなかなかいけます。
通気孔から外の様子をチェック。薄曇りです。
涸沢でお目覚め。
しあわせ。
300張でもなかなかの壮観ですね。土日は1000張超えだったそうです。そりゃまた…凄そうですね。
そしてマイテント、今回もありがとう。
やっぱりど定番だけどトレックライズ1いいですよ。どんだけ風吹いても安心して寝れるって重要ですよね。
ちなみにマットは2980円のノーブランド品。マットの下に一回り小さくカットして二つに分割したサーマレストのパタパタマット敷いてます。断熱は大事なのでそこは安心のサーマレストですね。頭と足先分の長さ、肩幅以上の幅は不要なのでそこをハサミでチョキチョキしました。分割して大きい方をザック脇へ、小さい方をザックの中の背中側に分けて入れてあります。
今回新たに導入したのがこれ。ガス缶の脚。MSRのやつです。こういう不整地で活躍しますね。ぐらつかず、熱湯乗っけてても安心です。
この山テーブルもお気に入りです。solaのチタニウムテーブル。
とにかく軽い。スタッフザック込みで170g。
スノピのオゼンライトが本体のみの重さが270g。SOTOのフィールドホッパーが395g。いかに軽いか分かります。熱変形に強いチタン製なのでアルストを置いても大丈夫。
なによりデザインが最高です。再販するとあっという間に完売します。そしてヤフオクで倍近い値段で転売されるというやつです。あれどうにかならないですかね。ほんとに。
あとこれも大事。
僕の使ってるウィンドマスターのイグニッションは長年の酷使により馬鹿になっているのでライターで着火しています。
近所のセブンイレブンに売ってるやつですがbic のフリント式ライター。100円。どんな高地で空気薄くてもちゃんと点火します。ターボ式だと心配。やっぱりフリント式です。予備と合わせて二つ持って来てます。
SOTOのウインドマスター。100gを切る軽さで安定の火力。山ではこれに限る。一泊か二泊ならOD缶はちっちゃいやつで十分です。自分お湯沸かすことしかしないので。
SOTOって見た目がカッコいいものが多いですよね。プリムスの方が山ではメジャーですけど。
さ、気を引き締めて下山します。
帰路は徳沢園で…
生~!
最幸でした!
雲ノ平と高天原を巡る山旅 (後編)
「黒部五郎カールを歩く」
「絶景山岳野営旅」 第3弾 雲ノ平と高天原を巡る山旅 (後編)
初日に一気に雲ノ平まで歩いた疲れは一晩眠って休んでだいぶ回復しました。
テント泊装備ってのは便利なものですよね。
天候の急変や体調不良でそれ以上の行動が無理だとしても条件の良い場所さえあれば最悪の場合どこでも我が家にすることができる。非常手段、いわゆるビバークっていうやつですか。それができる。ザックに衣食住すべてを詰め込んで歩くのは大変だけどそこが楽しかったりもするんです。ほんと重いけど。
テントについて以前こんな話を聞いたことがあります。五竜岳のテント場は稜線にあって強風がつきものですがあるとき夜半からかなりの風雨になってテント泊者は小屋に避難しました。夜が明けてテント場に戻ってみると大半のテントが潰れたりひしゃげたりしていた中でモンベルのステラリッジとアライのトレックライズやエアライズだけがダメージなくそのまま立っていたそうです。やっぱり国産メーカーのテントは日本の山によく対応して作られていることを知った話でした。
強風が予想されるときのテントの張り方としてガイロープをポールの交差する点で結びテントを上から抑えるようにして四隅の大きめの石か岩に巻き付けて固定する方法があります。めったにやらない手段ですが参考までに..。
テントの外を覗くともう出発して行く人たちの姿が。気をつけて行ってらっしゃい!
測ってみたら外の気温は4度でテントの中は7度です。標高の高い山の朝は八月であっても冷えます。標高2500m前後でテント泊するようになって初めてトレックライズ1の性能の高さを体感しました。北アルプスのテント場は何しろ標高が高いので下界の半分以下の気温です。朝方ともなれば下界の冬の気温。トレックライズは耐風性もさることながらダブルウォールの堅牢さと気密性の高さゆえに暖かいんです。20年以上のロングセラーも頷けます。どれだけ強い風が吹こうが安心して寝られるのはありがたいもんです。東レの中空糸「ファリーロ」を使った軽くて強靭な生地のテント。これからも愛用していきます。
昨日調べておいた北アルプス周辺の天気予報では明け方と夕方に雨が降るとのことでした。まだ降ってはいませんがとりあえず6時過ぎまではテントの中でのんびりしようと思います。
朝の珈琲。
雲ノ平の清水で淹れた珈琲はスッキリして格別に美味しいです。
今日も長い距離を歩きます。
珈琲を頂きながら30分間足を揉みほぐします。もし山小屋にマッサージサービスとかあったらけっこう流行ると思うのは僕だけでしょうか。
ハムでも焼いてぼちぼち朝飯にします。
と、ハムを刻んでいたらぽつぽつとテントを叩く雨音が。予報通り降ってきました。
徐々に強くなってきます。
さっき出発していった方々、暗い中の雨の木道は滑るので大丈夫だろうかなんて思って心配したり...。現在朝4時を回ったところです。夜明けまであと1時間半ほど。早めに雨が上がることを願います。
じゅわ~。いい匂いがしてきました。
こういうの食べると活力出ます。
あ、そうそう今回の2泊山旅でも持参したのはちっちゃい方のOD缶です。
そもそも料理しないのと、意識的にガスを節約してます。
たとえば棒ラーメンだったら無駄にお湯を沸騰させずに湯泡がぽこぽこ言う前に火を止めて乾麺を入れて5分か6分そのまま待っていれば同じように美味しく食べれたり、珈琲も60度くらいまでの湯加減で火を止めてガスを節約してます。
僕の場合、2泊3日の7食か8食でも110g缶で十分です。基本的にフリーズドライ野郎なので可能な話なだけですが...。軽くて便利で美味しいアマノフーズ様に感謝ですね。山に登る以外の日常の非常食としてストックしておいてもいいですし。ここのフリーズドライカレーはモンベル販売店でも置いてあります。
空が明るくなってきました。今日の寝床は山頂に雲がかっている黒部五郎岳の鞍部にある小屋のテント場です。あそこまで行くのか。いや~遠いな..。
そして明後日は黒部五郎の右肩から続く稜線を太郎平に向かって歩きます。黒部五郎岳の急坂を下りて赤木岳まで登り返してまた下ってまた登って北の俣岳を通って...。見えているその稜線にコースのイメージを重ねました。
5時半ごろ雨が上がりました。それを待っていたかのように一組、また一組とテントを畳んで出発して行きます。みなさんの旅のご無事をお祈りします。
午前6時半過ぎ。
一番最後になりました。
ぼちぼち僕も準備して出発しようと思います。
ちなみに今日のルートは..
- 雲ノ平山荘まで戻って最新の天気や道の状況を確認する
- 高天原峠まで下って高天原山荘へ
- 山荘に荷物をデポして温泉ピストン
- 岩苔分岐を水晶池方面へ
- 岩苔乗越から黒部川源流の碑方面へ下る
- 碑から三俣山荘キャンプ場方面へ登り返す
- キャンプ場を通過して三俣蓮華岳巻き道ルートへ
- 黒部五郎小屋
全行程でだいたい16Kmくらいの道のりです。
標高2500mの雲ノ平から2000mの高天原まで降りて2700mの岩苔乗越まで登り返します。そこから2450mの黒部川源流碑まで下って2600mの三俣山荘キャンプ場まで上がる...。距離もさることながら高低差もめまぐるしく変化する一日になりそうです。
雨が上がってガスってますね。では出発!
どんよりしていても絵になる風景です。あらためて雲ノ平に来ていることを実感します。雲に包まれた溶岩台地。まさに雲ノ平ですね。
きっとまたいつかここに来よう。
そんなことを考えながら歩きました。
山荘で確認したところ天気は回復していく予報でした。
ちなみに明日は午前中は晴れ予報です。いいぞいいぞ。高天原峠までの道はそこそこに険しいので足元に注意した方がよさそうです。梯子も登場するとか。雨やら朝露に濡れた二日目のテントは重くなります。さらに重くなったザックを背負って梯子降りるのは大変そうだな...。
山荘の北側に降りて行きます。
エンジンブレーキ掛けながらって...。
丘に上がって来ました。
コロナ観測所に到着しました。この近辺だけdocomoの電波が入るそうです。山荘泊まりの人たちが下界と連絡を取りにここへやってくるそうです。
ここら辺りもまた美しいです。雲間から天使の階段が伸びています。雲ノ平の北面は奥スイス庭園と呼ばれていますが神が降臨してきそうな雰囲気のある場所です。
ハイマツの先にシラビソの森。森へ入るといよいよ高天原峠への急坂に取り付きます。
その急坂樹林帯に入りました。
樹林を下り、森を歩き、また樹林に入って下るの繰り返しです。
歩きやすい木道に出てまた森に入っていきます。
そして言われた通り梯子の登場です。梯子の先にあったのものは...
さらに長い梯子でした。
急坂を下り続けてふと前に黄色い標識が現れました。
高天原峠に着きました。左に折れれば大東新道、右に行けば高天原。
ここまでけっこうな急坂でした。今回は下ってきたからいいけど反対に登って雲ノ平に行くのはかなりキツイんじゃないかな。せっかく温泉入っても汗だくになりそうです。
とは言え岩苔乗越周りだと長々と2700mまで登るのでそれも大変。薬師沢小屋からの急登も大変。結局雲ノ平はどこから上がっても大変ってことですね。
行く先の道を朝日が燦燦と差し照らしています。
透き通った沢を渡り
開けた草原の中の木道を歩き
立ち枯れのシラビソ林とその向こうの薬師岳を仰ぎ
やがて広い草原に出ました。
とても静かです。
どうやら高天原に着いたようです。
確かにそんな厳かな雰囲気があります。
シラビソの森に守られているかのように山荘が立っています。
山荘の方に挨拶を済ませてザックをデポさせて頂きます。
タオルと水、カメラの3つだけ持って温泉へ向かいます。この先に誰もが憧れる歩いてしかたどり着くことが出来ない日本一遠い温泉があるんだ。そこまで来たんだ。そう思うと足取りはまた軽くなります。
15分ほど下って
ついに温泉に到着しました。
ほんと遠かったです。まさに秘湯中の秘湯。
もうワイルドにいっちゃいました。これはかつて感じたことのない感動です。最高に気持ちいい。北アルプスの最深部。誰もいない山奥。そこで真っ裸になってこれまでの疲れを吹き飛ばす。そりゃもう最高です。
二つ目の目的を達成しました。
一個ずつ目的を自分の足で達成して行く喜び。
それがロングルート山旅の冥利です。
ありがとう高天原温泉。神々に感謝。風呂を出て山荘にデポさせて頂いたお礼と水の補給をして元来た道を分岐まで戻ります。
岩苔乗越まで標高にして700mほどの高低差を3時間かけてじっくりと登って行きます。
50分ほど歩いていくと水晶池の案内板が現れました。
黒部五郎小屋まではまだまだ長いので今回はパスします。
岩苔乗越への道は水晶岳に沿って森の中を進んでいきます。途中何度もダケカンバがいやらしい高さで道を邪魔してきます。10回以上は頭をぶつけたかと思います。
乗越まで3分の2あたりまで来てお昼休みにします。行動食のカロリーメイトを2本食べて水をたっぷり飲みました。
10分ほど足を休めてから出発です。
樹林帯を抜け沢の音が近くなってきました。
岩苔小谷を流れる沢。
この沢の源頭は岩苔乗越の上、鷲羽岳の北隣にあるワリモ岳の斜面から染み出しているそうです。高天原方面へ流れ下ってやがて上の廊下の立岩で黒部川に合流していきます。ここも黒部の最初の一滴なわけですね。立岩も「黒部の山賊」で出てくる地名ですが実際に歩いてみると如何に山賊たちの足が速かったことを思い知ります。「ちょっと立岩に岩魚を釣ってくる」と三俣から行っちゃうんです。ほんとに自分の庭みたいにして歩いていたわけですよね。しかも草鞋で。ほんと凄い脚力です。
高天原から3時間。ようやく岩苔乗越に出ました。たぶんですけど乗越(のっこし)って稜線に出るところのことですよね。雲ノ平から祖父岳を経由してワレモ岳分岐に向かう稜線の途中にあるのがこの岩苔乗越です。標高2700m以上の位置にある乗越は初めてです。
振り返って登ってきた岩苔小谷と水晶岳の斜面を眺めます。いや絶景かな。
水晶の頂きからの雲ノ平もいつか眺めてみたいな。
では乗越の先へ。今度はここから一気に300m以上下りて黒部川水源地標を目指します。せっかく登ったのにな~って気になります。
下りた先でまた正面に見えている三俣蓮華岳まで上がるわけです。
左端の鞍部に三俣山荘が見えます。その右隣辺りにあるキャンプ場まで登り返す…。たいへんだなぁ。
50分かけて下りてきました。そして40分かけて登り返します。地味にキツイ。
三俣山荘キャンプ場の裏手に出ました。ついひと月前泊まった場所がすでに懐かしいです。
やっぱきれいだな。三俣山荘と鷲羽岳。
さらにキャンプ場から三俣蓮華岳の北側巻き道へと進んでいきます。
まだ残雪があります。
20分も歩いて振り返るともうあんなに山荘が小さくなっています。
しっかしこの場所…平らだし景色いいし絶好の幕営地じゃないですか。
「黒部の山賊」を読んでなかったら思わずここに張っちゃいそうです。でも本に書いてあったように三俣周辺を含めた黒部一帯はツキノワグマの生息域。本の中で昭和の頃の三俣山荘に毎日のように現れたという熊が玄関から顔を覗かせる写真があります。伊藤正一さんはその熊がある日から来なくなったことを寂しがっていましたが凄い話です。北アルプスはその頃とは違って桁違いの登山者が山に登るようになり、そんなことはまずありえないしだいぶ状況も変わってるんだろうけどやっぱりここで一人幕営ってのは怖い。別に緊急事態でもなければ興味本位のビバークなんて避けるべきだと自分に言い聞かせて先に進みます。
山岳地帯は指定されたテント場で寄り添って野営するのが一番安心ですね。
途中黒部五郎小屋の方から三俣に向かって歩いていく方と何度かすれ違いました。お互いにこの先の道の状況を教え合います。
遠くに見える雲ノ平をスマホでズームアップ。肉眼では雲ノ平山荘の赤い屋根が見えてるんですがわかりませんね。
今日の朝7時にはあそこにいたんだと思うと不思議な感覚です。
三俣の方を振り返るとけっこうな急斜面に道が付けられていることがわかります。
やがてでっかい黒部五郎岳の雄姿が目の前に現れました。遠くで見るよりはるかに大きい。その大きさに感動も一入です。明日はあのてっぺんに登るんだ。
その先岩の道に変わってどんどんと下に降りていきます。
そして三俣から2時間ほどで黒部五郎小屋に到着です。
ここも綺麗なところです。
いやぁ~二日目も無事に歩き切ったぞ。
長かったぁ~。。
下りて登って下りて登っての繰り返し。やればできるじゃないか。
この旅初めての生ビール(1000円也)で祝杯です。
しみる~っ。
あぁりんご美味しそうですな。
ビールもたんまり。
宝船か。
テント泊の受付を済ませました。
この小屋は双六小屋や鏡平、ワサビ平と同じグループ だけあってトイレが超綺麗です。無臭。これには驚きました。
トイレを済ませて戻ると...
なんとホーボージュンさんに出会っちゃいました。いつも「山と渓谷」のGTRやPEAKSで連載記事を読んでるその著者に出会えるなんて超ラッキーです。
テントを設営しに行きます。
テン場は南に少し行ったところ。
まず見えるテン場。
その下にもあります。
下段サイトの岩陰に張りました。
ここなら風除けになる。
なによりまっ平です。
ペグもよく刺さる。
山のテン場でここまで快適楽勝にテントを張れたのは初めてです。
黒部五郎小屋のテン場最高です。
さっきのホーボーさんご一行も下段サイトに。
下段サイトは僕とご一行だけになりました。
設営を済ませて晩飯を食べているとホーボーさんたちが一緒に食べようと誘ってくれました。
当然行きます。
ジェットボイルで夕飯を仕込むホーボーさん。僕は真ん中。右隣りの方はなんとPEAKSの編集長の朝比奈さんでした。
めっちゃ愛読書のピークス。毎号欠かさずに読んでます。まさかそれを編集しているご本人や大好きな旅人、ホーボーさんと一緒に酒が呑める夜にありつけるなんて思いもよらなかったです。
いやはやこれは夢か。
たまたまこの日に黒部五郎を目指して歩いてきたらこんなサプライズが待っていました。
山のこと。旅のこと。音楽のこと。色んな話をしました。
僕が岐阜でウクレレ職人をひとりでやっていることを話すとなんとホーボーさんも郡上に縁があったりして..。
家から持ってきたスキットルのワインはあっという間に空になり、朝比奈さんに太郎平小屋から持ってきたというモルツを頂いてまたグビグビっと。
朝比奈さんにもらったドライトマトが感動的な美味さでした。家帰ったらマネして作ってみよう。
そのうちウクレレ一本編集部に送りますと約束して楽しい夜は過ぎていきました。
ちらっと自分の工房情報...
酔いも回って心地よく眠りにつきました。
明日はいよいよ最終日。
黒部五郎岳に登って、そして折立に帰る。
怒涛の3日間、50Kmの山旅は佳境に入ります。
岩陰に守られた平らな今夜の寝床は安心感満点。
今夜はゆっくり眠れそうです。
(マクロレンズで壮大な宇宙を撮影。無理があった)
朝6時に遅めの起床。
爆睡しました。いつもながらスタートの遅いやつです、僕は。
たいがいの登山者はみな夜明け前後にテン場を発っています。
それも自分らしくのんびりと行けばいいやなんて言い聞かせてモーニングブレイク。
6時半をまわり
45分にやっとテントを片付けて
すっかり誰もいなくなったテン場を後にして小屋に向かうと途中で景色を撮影している人が。
小屋のスタッフさんでした。今朝は初霜だったらしく朝は今シーズン一番の冷え込みで2度だったと聞きました。
テント寒くなかったですか?と聞かれましたが全く平気でした。
8月下旬の北アルプスはもう秋の気配。
振り返ったテン場方向は青空の下に笠ヶ岳があまりにも綺麗です。
トイレを済ませてくると同じく出発前のホーボーさんご一行とまた会いました。特に明日の朝は何時に出発とか聞いてなかったんですが同じ最終組と相成りました。ご一行は三俣方面へ。僕は黒部五郎岳方面へ。ここで記念撮影をしてお別れです。
いい体験をさせて頂きました。
感謝です。
ホーボーさん、朝比奈さんありがとうございました。
黒部五郎カールに向けてしばらく草原の中を歩いて行きます。
出発が7時をまわって遅かったためか誰とも会いません。
一人、カールを目指して歩きます。
ついにやって来ました。黒部五郎カール。
氷河の記憶。
僕の稚拙な写真(全部マクロレンズという暴挙)じゃ100分の一の感動も伝わらないですが物凄いスケールの大きさです。
「壮大」とはこの景色のことじゃないか。先月三俣蓮華岳の稜線から遠望した姿からは想像できなかった美しさです。
立ち尽くしてずーっと眺めていました。
しばらくしてカールの草原の先に一人の登山者を見つけました。さっきまでカール全体に見とれてその景色の中に人がいることに全く気が付きませんでした。
だんだん大きくなるその人影。色や姿がはっきりとするにつれ、それが誰なのかはたと気づきました。
見覚えのある後ろ姿。
軽快な足取り。
朱色の山岳帽にオレンジのザック。
そうです。初日に守りに入っていた僕を雲ノ平まで引っ張って行ってくれた方です。
思わず嬉しくなります。
雷岩で追いつくとやはり初日にお世話になった彼女でした。
僕が高天原に行っていた頃は水晶岳に登っていたそうです。そのまま鷲羽岳に登って昨日は三俣山荘に泊まり、今朝5時過ぎに黒部五郎を目指して歩いてきたようです。
雲ノ平でお別れしたときにはその後の日程をお互い何も知らせず仕舞いだったのでこの再会には驚きました。
雲ノ平からの道はいくらでもあります。彼女はバスで折立登山口に来ていたのでどこへでも降りることが出来るプランで縦走していました。
なんか今回の山旅は出来すぎているくらい楽しい。
また雲ノ平に上がったときと同じように他には誰もいない絶景の中で最高の時間を共有することができました。
黒部五郎の肩にザックをデポしていざ頂上へ向かいます。
空は快晴。
最高の気分です。
登頂。
雲ノ平越しの水晶岳。
ズームアップ。
雲ノ平の左の方に赤い屋根の雲ノ平山荘が見えます。
立山とその左に剣。
槍と穂高。
彼女は熟達者向けと言われる黒部五郎の稜線コースで小屋まで戻って行くそうです。
さすがクライマー。
僕は太郎平に向けて歩きます。
これでほんとにお別れです。
この晩夏。最高の思い出になりました。
ありがとう。
また一人、北の俣岳を目指して稜線を歩きます。
その途中で雷鳥に出会いました。
足元までやってきて砂浴びを始めました。
か、可愛い。
2600m前後で続く北の俣岳への稜線。
この稜線も先月見た憧れの風景の中。
そこを今、実際に歩ける幸せに存分に浸ります。
砂礫地帯の先に北の俣が見えてきました。
ここまで来れば太郎平はあと一息です。
太郎平小屋泊で黒部五郎岳をピストンした登山者がたくさん前を歩いています。
それに交じって雲ノ平を周回してきた僕はもうすぐ道を環状につなぎ終えようとしています。
2400mから徐々に高度を下げ、太郎平小屋への最後の木道を歩きます。
無事に太郎平小屋まで周回して参りました。
ここで一息入れて折立までの最後の活力をチャージします。黒部五郎岳の記念バッチもゲットしました。
お昼の軽食は14時まで。それ以降に名物のラーメンは食べれませんのでご注意下さい。
つまりそういった事情で僕はカップ麺です(今度来たら絶対太郎平ラーメン食べるぜ)。
さあ行こう。
ここから折立までの8キロは2時間でした。
午後4時半。無事に帰って参りました。
8月24日(土)折立登山口⇒薬師沢小屋から直登⇒雲ノ平キャンプ場
8月25日(日)雲ノ平⇒高天原⇒三俣⇒黒部五郎小屋キャンプ場
8月26日(月)黒部五郎岳⇒太郎平小屋⇒折立
3日間の合計50.5Km
「絶景山岳野営旅」第三弾 〜雲ノ平と高天原を巡る山旅〜 完
雲ノ平と高天原を巡る山旅 (前編)
「絶景山岳野営旅」 第三弾 雲ノ平と高天原を巡る山旅
「黒部の山賊」を読んで以来、いつかは行ってみたいと思っていた憧れの台地「雲の平」。
日本最後の秘境と呼ばれるその台地は北アルプスの名峰にぐるっと囲まれ、まるでそれらに見守られているかのような場所。標高およそ2500mから2700m、日本最高所にある溶岩台地。四方を百名山四座に囲まれ北に薬師岳、東に水晶岳、南に鷲羽岳、西に黒部五郎岳を見渡す。
一般的にどの登山口から雲ノ平を目指しても当日中にたどり着くのは難しいと言われるその台地についに行って参りました。そして今回の山旅の目的はあと二つ。
日本最奥の秘湯「高天原温泉」。
よほどの健脚者でなければ一泊以上の歩行を要する北アルプス南部の一番奥にあります。新穂高から双六小屋か三俣山荘で一泊して岩苔乗越を経由して2日。または高瀬ダムから北アルプス三大急登の一つであるブナ立尾根を登って裏銀座を通っても2日。天候や黒部川の水量条件が許せば折立から薬師沢小屋で一泊、大東新道を使って高天原までやはり二日。一般的に往復で4日かかります。そこまでしても行く価値がある秘境の温泉です。自分の足で歩きとおしてたどり着いた後に浸かる天然の温泉は言葉にならない感動と思い出を与えてくれます。
先月、三俣蓮華岳から双六岳へ向かう稜線上で薄雲の先に浮かぶ雄大な黒部五郎岳の頂稜と中の俣へと延びる稜線を初めて目にしたときの感動が脳裏に焼き付いてしまいました。シュンと尖った北アルプスの盟主槍ヶ岳とは対照的に雄大でたおやかな黒部五郎の雄姿に惚れてしまったわけです。僕の勝手なイメージですが槍ヶ岳は小言の多い神経質なお母さん、黒部五郎岳は懐の深い優しくときに厳しいお父さん。山ごとにキャラクターを付けるのが実は好きなんです。
今回のコースはこちら。
折立登山口から雲の平、高天原、黒部五郎岳を巡る2泊3日(予備日1日)。全行程50Kmの山旅です。
結果的に高天原に行くことができたのは道中で巡り合わせた方のおかげでした。その後黒部五郎小屋のキャンプ地での出会いなどあってめちゃめちゃ濃い、一生の思い出となった山旅となりました。人との出会いが一人山旅の一番の喜びだと改めて感じました。そんな3日間を綴って行こうと思います。
8月24日土曜日朝。有峰林道を経て折立へやって参りました。持ち主はすでに山に入っている車がずらり。折立の無料キャンプ場ではこれから登る準備をしている若者グループが十数名。これからみんなで登っていくんでしょう。
ここは無料ではあるけれども熊の目撃情報が多いところでもあります。前泊はやっぱり車中泊かな・・。
次から次へとやってくる大型バスからも登山者がたくさん降りて来ます。週末とあってまさに観光地ばりの人の賑わいを見せています。
見渡すと若者グループも多く見られますが中高年の山岳会グループの皆さんはさらに多いようです。山岳帽に名札を付けたグループが何組かいました。土曜日だから多いのかも知れませんがそれにしてもすごい人数です。
ピーク時じゃないけど6月末に行った燕岳の登山口、中房温泉口よりはるかに多い。太郎平小屋を目指すのはみんな同じでそこから薬師岳へ向かったり薬師沢へ向かったり黒部五郎へ向かったりと方々へ散って行くんでしょうね。
ではでは登山開始です。標高1350mの折立登山口。これからどんな旅が待っているのかワクワクしながら登って行きます。
おそらくテント泊装備の前を行くソロの方。スタート直後はザックの重さになかなか体が慣れません。太郎平小屋まではおよそ8Km。中間地点である三角点ベンチまでとりあえずウォーミングアップのつもりでゆっくり歩きます。ふくらはぎあたりがあったまってくれば体が有酸素運動モードと言いますか、つまり登山モードに入ってきます。
方々で朝の挨拶を交わしながら登って行きました。皆さん爽やかにおはようと返してくれます。山の挨拶ってほんとに気持ちいいです。
標高1700mを過ぎたころに現れるこの看板。「んちゃっ!」
出ました折立名物、5代目アラレちゃんです。ここで一旦スマホではなくデジカメで撮影すべくザックを下ろします。
今回のザック重量はおよそ20キロ。予備日を入れて3泊分の食糧と朝の冷え込み対策で冬用の衣類が入って重くなりました。水は補給ポイントごとに補充する計画で常に2L持ち歩いています。このモンベルのトレッキングパック55は表記55リットルですが3泊分でも入ります。余計なものを詰め込んでしまうと厳しいですが取捨選択の訓練にもなってます。僕にとって最高の山旅の相棒です。何よりシンプルで使いやすい。ザックの自重がちょっとあるけどその辺は己を鍛えます。
太郎平小屋は2300mちょっと。
1700m地点の中腹で20度を切ってきました。おそらく上はもっと下がるはず。最終日に登る黒部五郎岳は2840mでここより1000m以上も高いのでやっぱり防寒着は持ってきて正解だったかな。
カメラをしまっているとひとりのソロ登山女性が通り過ぎて行きました。挨拶を交わしてしばらく間をあけてから再び登り始めます。
三角ベンチでまた会ったのでまた挨拶をして今日の目的地を伺うとなんと雲の平だと仰ります。
実は僕は初日は無理せず太郎平小屋からすぐの薬師岳キャンプ場までのつもりだったので驚きました。初日から一気に雲の平まで行くのか。すごい人に出会ってしまった。そんな思いです。
しばらく話をしながら歩いて行きました。そして話の流れで一緒に雲ノ平まで行っちゃいましょうということに。
だ、大丈夫だろうか。行けるのだろうか、自分の体力で...。
振り返れば有峰ダムがあんな遠くに見えます。太郎平小屋まであと2.5Km。
彼女は過去にも雲ノ平に行ったことがあって経験上初日から行けると言います。
...実は今回の計画に高天原温泉は入っていませんでした。
一度雲ノ平まで行ってみて次の機会にその経験を参考にしてから改めて行こうと考えていました。
なので初日は薬師岳キャンプ場まで。二日目に雲ノ平経由で黒部五郎小屋。最終日に折立に戻る一周40Kmを予定していました。その距離なら前回の三俣山荘一泊二日で38Kmを歩けた経験から行ける自信がありました。
でも高天原まで入れて周回するとなるとさらに10Km増えます。全行程50Kmを3日間で回って折立まで戻るためには初日に雲ノ平まで行っておく必要がありました。まさにそれをやろうとしているのか。。
出来るのか、自分。
太郎平の美しい丘陵地帯を歩いて行きます。
日本最後の秘境、雲ノ平周回コースは3泊か4泊して距離を割ってゆっくり味わいながら歩くべき行程。でも今回僕に許される日程は基本的に2泊まで。次にいつ来れるかわからないとなると行けるものなら行っておきたいと思いました。
…いや、でもほんとに行けるだろうか。なんてぶつぶつと脳内で日程計算しながら太郎平小屋までの整備された美しい道を歩いて行きます。
太郎平小屋に到着しました。
彼女の言った通り標準コースタイムを1時間以上も巻いて3時間弱で着きました。こんな早くにすぐそこの薬師岳キャンプ場に行って明日の朝まで休息するのも勿体ないしまだまだ体力はほとんど消耗していませんでした。
ここから雲ノ平までコースタイムは6時間。たとえその通りだとしても夕方前には着く。
「一緒に行きましょう」
その一言に押されて行くことにしました。
ここへ明後日また戻ってくることを誓って。
沢を何本か渡り薬師沢小屋を目指して歩きます。実はロッククライミングがメインだと言う彼女の足取りは軽く、それでいて僕にとって早すぎる事もなくちょうどいいスピードです。10Km以上もの長丁場を誰かと話しながら山を歩くのは初めての経験でした。
あまり疲れてこないのが不思議で仕方なく、どんどん景色は移り変わっていきます。一人二人三人と抜いて行き薬師沢の透き通ったエメラルドの流れが下に見えました。30代の頃よく福井県九頭竜川の源流に硬調の竿を持って岩魚釣りに通っていましたがそこよりも遥かに透明で綺麗な沢です。そこからまたしばらく歩き「黒部の山賊」の中で河童が登場するカベッケが原を通過。どこからか「おーい」と聞こえたりしないかななんて小説の逸話を思い出しながら歩きます。
太郎平小屋から1時間半ほど歩いた頃、前方に赤い屋根が見えてきました。
折立登山口を出発してから5時間。薬師沢小屋に着きました。
薬師沢小屋に着いてまずその先の橋をチェックです。
なんか揺れそう...。
なんだか年季の入ってそうな吊り橋ですよね。
ちょっとだけ歩いてみました。やっぱりけっこう揺れます。
雲の平直登前に水分補給とエネルギー補給です。直登ルートはかなりキツイと評判です。小屋で15分ほど一休みします。
ぐいっと体に流し込んでチャージ完了。もう行くしかないって気になりました。
いざ雲ノ平へ出発!
吊り橋を渡り切ってから梯子で一旦沢に降ります。
小屋の手前で薬師沢は黒部川に合流してさらに流れは太くなります。
あまりに綺麗な沢なので手を浸してみたくなりました。すごく冷たい。澄んだ緑の空気と澄んだ川の流れに癒されます。
いよいよ直登開始です!
かつて経験したことのない急な斜面をこれでもかというほど登って行きます。20キロのザックを担いでこの急斜面。
雨で濡れていたらかなりやばいことになる道ですね。
岩という岩をよじ登り、木の根に掴まって這い上がります。
いつまで続くのかこの岩の道...。
永遠と登っていくとやがて空が開けてきました。
なんだか天空の城ラピュタでパズーが龍の巣を抜けたときのシーンを思い出しました。そんな感じです。キッツい急坂を永遠登り続けてたどり着いた憧れの溶岩台地の端。
シラビソ林に囲まれた一帯に出ました。
ついに雲ノ平に着いたようです。
綿毛になった稚児車(チングルマ)が出迎えてくれました。
何という景色。
言葉になりません。
ここはほんとに日本なんでしょうか。
それに不思議と薬師沢小屋を出てから誰ひとりとしてすれ違わないし誰とも会いませんでした。
広大な台地にそよぐ風の音と木道を歩く足音だけの世界。
こんな贅沢な時間、あっていいのだろうか。
ほんとなら今頃薬師岳キャンプ場で時間を持て余していたかもしれない。
今回は為せば成りました。たまたまかもしれないけど。
結果オーライです。
ちょっとハードだったけどほんとに初日に来れてしまった。
一人だったらまず無理でした。経験者と一緒に歩くってやっぱり違いますね。
そして夢にまで見た雲の平山荘の赤い屋根がいま目の前にあります。
来てしまった。
憧れの地の真ん中に。
彼女は山荘泊。ここが今日のゴールです。ここまで導いてくれた御礼を告げて別れました。初日にここまで来る勇気をくれた背中に心から感謝しました。
雲の平のキャンプ場は山荘から南東方向の祖父岳(じいだけ)に向かって20分ほど歩いた先にあります。
キャンプの受付と雲の平山荘記念バッチを購入。小屋の中はビール片手に談笑する人たちで賑わっていました。やっぱり小屋の中はあったかい。いつかまたここに来るなら小屋泊してみたいです。
小屋に向かって手を振ってキャンプ場へ。
今日の素晴らしい出来事に感謝しながら手を振りました。
草原の中を祖父岳方面へと続く木道が延々と続いています。
南西方向に黒部五郎岳です。きっと明後日にはあの頂きに立っているはず。
山荘がどんどんと小さくなっていきます。
今年は当たり年だったという花後のコバイケイソウの黄色い葉の海が一斉に風にそよぎます。
憧れの風景を歩く今回の山旅目的の一つ、コンプリートです。
水晶・三俣方面への分岐からすぐ先がキャンプ場です。
東を向けば目の前に水晶岳。
かっちょいい。
さあ今夜の寝床を探しに行こう。
周りのテン場よりも少し上の方に張りました。
テント全部の広さではなく自分が横たわるスペースだけ平らなサイトです。
山のテント場に多くは求めてないのでそれで十分です。
水場の近くの水溜りでビールを冷やします。
顔を洗ってプラティパスに水を汲みます。いや~冷たい。
この水、まじで美味しい。まったく雑味がないです。
ビールは5分も浸せば十分なほどにキンキンに冷えました。プラティパスに汲んだ水もご覧の通り無色透明に透き通ってます。北アルプスの天然水ですね。
ぱらぱらと水を汲みに人が上がって来ます。すると一人の男性に水場の場所を聞かれました。
すぐそこですよと答えると、
「あ、ほんとですね。どうも!」
なんか気持ちいいやり取りです。憧れの雲ノ平でキャンプ。きっとみんなそれぞれに憧れを持ってやって来たんでしょうね。
こんなに旨い一番搾りは初めてです。
雲の平に乾杯!
ここにいるみなさんに乾杯!
今晩の夕食はカレーです。代り映えのないメニューですみません..。
トッピングにナッツ。高カロリー仕立てですね。
いっぱい歩いたもんね。
ちょっと硬めだったかな。
いただきますっ!
食後は白ワインで一杯。
歩き疲れてもう眠くなってきました。
明日は高天原温泉。またたくさん歩くのでもう寝ます。
おやすみなさい。
後編へつづく
真夏の避暑キャンプ、車旅!
下界では今年の夏も酷暑の日々が続いてますね。僕の暮らす岐阜県東濃地方は連日の38℃です。暑い。いや、熱い。天気予報でよく聞く「平年並み」の平年てつまり直近何年かの平均気温のことです…よね。だとしたら今世紀入ってから年を追うごとに最高気温が更新されてるわけだから平均気温も昔と随分違うんじゃないか。そう思って気象庁のデータを見てみました。
一番古い記録で1875年。明治8年。その翌年にはグラハムベルが電話機を発明した頃の時代。東京の8月の最高気温平均は29.4度。143年後の2018年、同じく東京の8月の最高気温平均は32.5度。その差、3.1度。どうなんだろうこの数字。うーむ...。
ま、理屈抜きで暑いものは暑いので避暑地求めて長野県は佐久市にある内山牧場キャンプ場にやって参りました。
ここは目の前に奇山、荒船山を見ながらゆったりと牧場キャンプが楽しめます。標高1200mで下界より気温も低くて常に風があるので涼しいです!標高100mにつき0.6度気温は下がると言われているので海抜100mの僕の暮らす町より7度前後涼しいことになる。風速1mにつき体感温度は1度下がる。..それらを期待していざ避暑キャンへGO!
午後3時に到着して気温は27度!この日の岐阜県東濃地方は38度...。11度も低いじゃないですか!風もやや強めだし。最高!さっそく荒船山に金麦で乾杯!
今日は100均で買ってきた麻紐で着火します。
日も傾いて午後5時。さらに気温は下がって23度!連日下界では午後10時を回っても30度を下回らない昨今、もうこれは奇跡体験です。
牧場だからかアブやブヨはわりと多目。ディート入りの虫除けスプレーなど対策は十分にした方が良いかと思います。ハチやアブは車の排気ガスに含まれる二酸化炭素に集まってくるので到着したらすぐにエンジンを切らないと車外に出られなくなりますのでそこも御用心下さいませ。
さてさて、モーラでシュコシュコとこすって火口を作ります。
ファイアボックスの下には使い古しのモノラル焚火台の耐火布を敷いてます。
ダッカルビ風の何かを作っております。
はぅぁ~...キャンプってやっぱり最高だな~。涼しいしビールも美味いし!
西側の空。さわやかです。
さぁ~っと風が吹き抜けていきます。
粉ものを生姜を練りこんで適当に焼きました。見た目が微妙ですが...味はそれなりです。
夜の帳が下りて肌寒いくらいです。上着を一枚羽織りました。
セブンで買ったワンカップ的なワインを頂きます。
夜も更けていき酒も進みます。
ソロキャンプの友。ファイアボックス。
明日は山登り予定です。少し早めに寝ます。
このテントの居心地、高級ホテルです。
朝4時半。起床!
まずはお湯を沸かします。
そして珈琲。
昨日セブンで買った冷凍キッシュをあっためてモーニングセット完成です。
ありがとう内山牧場!最高に爽やかでした!
では八ヶ岳へGO!
大河原峠に向かう途中の蓼科スカイラインをドライブ中に突如として姿を現したこの巨大なアンテナらしき構造物の正体は...
直径64m。
あまりの大きさにビビりましたよ。
午前7時、目的地の佐久市大河原峠に到着しました。気温はご覧の通りです。さすが標高2093m。涼しい。
北八ヶ岳の登山口の中でも一番北側だと思います。ここから双子池、亀甲池を回って蓼科山を登頂してきたいと思います。
このイラスト地図だと下にある双子山にまず向かいます。そこから双子池を回って地図左の「至・竜源橋」と書かれた地点に周回してくる予定です。そこから蓼科山荘経由で山頂2530mを目指します。下山路は蓼科山荘に戻って前掛山経由で大河原峠にゴール。全体で10キロの山歩きです。
高嶺郡内風露(タカネグンナイフウロ)
大河原峠から15分で双子山に到着です。
双子山ゲット。
気持ちのいい山頂道です。
北に向けば浅間山。
東を向けば朝まで泊まっていた内山牧場方向にまっ平な荒船山。ほんとにあんな形した山って珍しいですよね。
双子山を下って行くと双子池に到着。
湧き水の池。
この白い看板の内容にはくれぐれも気を付けて下さいね。これ守ってるかどうか小屋からずっと見てたりします。ドランクドラゴンの塚地みたいな小太りの小屋番さん。青いシャツにバンダナを頭に巻いたその彼がじーっと監視してました。何かあれですよね…。
ヒュッテの方に「飲むなら必ず煮沸消毒すること!」「責任もてないから!」ととても親切にご注意頂いたので....。
じーっと水面を見つめた上で、
この水を汲むことはやめておきました。
亀甲池方面に向かって歩くともうひとつ池があります。そっちがキャンプ指定地ですね。
いやはや美しい。
今年は7月に雨が多かったからか水量が多めのようです。
双子池を後にして次の亀甲池に向かいました。
北八ヶ岳は苔の森。
苔むしたオオシラビソの森は独特の針葉樹林帯の中の香りがします。あぁ八ヶ岳の中にいるなー。そんな心地になります。
秋には赤い実がつく御前橘。
双子池同様に静かな亀甲池に着きました。
標高2000m地帯に神秘的な池。北八ヶ岳の森歩きは心の奥までリフレッシュしてくれますね。
竜源橋を通って急登のガレ場を歩くこと1時間で山荘に到着。
蓼科山、あと一息ですね。
ヤマハハコ
咲き始めた深山秋の麒麟草(ミヤマアキノキリンソウ)
残念ながら山頂は雲の中でした。
お昼にしましょ。
山頂でのこれはほんとに美味い。
赤とんぼがたくさん飛んでいました。
親子登山が多かったような気がします。夏休みだからかな。素敵ですね。
食後の珈琲を頂いております。
東の空は晴れてきました。荒船山が見えます。
西の景色。白樺湖や車山高原は雲の向こう。
ものすごい岩の数。5月に上った八ヶ岳最南端の編笠山と同じです。こちら最北端も同じようなお椀を伏せたような山体に岩だらけの山頂。八ケ岳って面白い。
と言うわけで蓼科山登山でした!
このあと無事に下山して蓼科スカイラインを白樺湖に向けて進みました。
白樺湖まで下りてきました。さっきまでいた蓼科山の山頂がよく見えます。
ここから見るとほんとに岩だらけ。
なだらかな裾野が雄大です。一番右が5月に登った西岳、編笠山。その隣のギザギザしたのが権現岳。阿弥陀岳と赤岳、横岳、硫黄岳。一番左は去年登った西天狗と東天狗。
霧ヶ峰ビーナスラインを経由して諏訪の市街を抜けて辰野の峠を越えました。さらに進んで次のキャンプ地へ向かいます。
次は久しぶりの陣場形山に向かいます。
地元在住、龍太郎さん情報によると最近陣場形キャンプ場のトイレが一新したとか。楽しみです。
到着設営して日が沈んだころに山頂に上がってみました。
ちょっとマイナーだけど中央アルプスは越百山から仙厓嶺、南駒ケ岳の3座をいつか歩いてみたいです。
木曽駒方面。絶景です。
下ります。
ほんとにトイレが一新していてびっくり。伊那の「かんてんパパ」という会社さんのご尽力によるものだそうです。ありがたい。綺麗に使わせて頂きます。
それでは第二夜のスタートです。
久しぶりの陣場形で久しぶりにシメサバを頂いちゃいます。
ほどよく人がいるといった感じがいいですね。きっとお盆になったら凄いことになるんだろうと思いますが...。
牧場ソーセージをジュウジュウしていると誰かが声をかけてきて..
ご存知、龍太郎さんでした。
確かにこの4時間前に霧ヶ峰あたりで今夜陣場形に行くと一行だけlineしましたが...それだけでほんとに弾丸キャンプに来てしまうこのバイタリティー。
恐れ入ります。
翌朝5時起き出勤もなんのその。今夜はダイヤモンド張りでタープ泊のようです。風強いけど大丈夫だろうか。
タトンカでダイヤモンド張りってけっこうレアで渋いかも...。
さっそくお裾分け。
「うめぇ~!」を連呼しております。
いやぁ~キャンプって最高ですね。
今夜もファイアボックス。
と思ったら龍太郎さんもファイアボックス(ピカピカ)。
4年ぶりの陣場形の夜に乾杯!
楽しい夜はあっという間に過ぎていきました。
やっぱ渋いなぁ。タトンカダイヤ。
ではそろそろ寝ますか。
おやすみなさい...。
翌朝5時前。
龍太郎さんミイラ状態です。息してるんでしょうか。
あ、よかった。生きてます。
寝起き3分で山頂へ。
まだ方角によっては薄暗いです。
中央アルプス側もピンクに染まってきました。盆地の右手に駒ヶ根市、正面に飯島町。左手に中川村です。
どれだけ蚊に刺されてもムシ。寝起き5分。素晴らしい生き様を見せてくれます。
テント場方向も朝が訪れています。
そしてついに北岳の肩からご来光が登って来ました!ありがたい!
中央アルプスにたなびく薄雲。
ピンク色の空木岳。
美しい。久しぶりに来てほんとに良かったです!
やっぱり夏のキャンプの必需品といえばこれですね。
朝から色々と虫が飛んでます。
朝珈琲。
清々しい朝もキャンプの醍醐味ですね。
こちら龍太郎さんもシェラカップ珈琲。
贅沢にフルーツなんか頂いちゃいます。
朝6時過ぎ撤収開始!
南アルプスを照らすお日様。
さ、下界に帰ります。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
三俣蓮華岳と双六岳 (後編)
晩御飯を作ります。今夜はアルファ米と野菜カレーです。
アマノフーズの野菜カレー。お湯で戻すだけって楽ちんですよね。
モンベルのアルファ米が炊き上がりました。お湯で戻して15分待つだけでけっこう美味しいんです。
こんな北アルプスの奥地でテント泊カレー。最高としか言いようがありません。
雲行きが怪しくなってきました。
と、かなりの土砂降りです。
雨は夜になって強まり、降り続きました。歩いている最中に全く降られずここまで来れたのはほんとにラッキーでした。雨音を聞きながら9時ごろ眠りにつきました。
朝4時。目覚めの珈琲を淹れます。
テントの中で頂く早朝珈琲は格別です。
4時半過ぎ。東の空が朝焼けに染まり始めます。
朝ごはんは棒ラーメン。
鷲羽さんがピンク色の空に包まれていきます。
北に目を向けると水晶岳はオレンジ色の空の中。
西の空もオレンジです。
北アルプス百名山の朝焼けショーを四方に展望しながらちゅるちゅると食べてます。なんて贅沢な時間でしょうか。
朝食後、三俣山荘でトイレを済ませて今日これから3時間置きの地域天気予報と最新の登山道状況を小屋のスタッフさんに確認しに行きます。
昨日の予報では午前中晴れで午後から雨だったけど予想通り変わりました。9時までは曇り。12時まで曇り時々雨。午後は本降りの予報に変わりました。槍方面を見ればどんよりとした雲の塊が赤肌の硫黄尾根に向かって動いています。
次々と各方面に出発して行く登山者皆んなに「行ってらっしゃい!」と暖かく送り出すスタッフさんの笑顔が素敵。でも笑顔の奥に登山者一人一人の様子をしっかり観察しているような眼差しを感じました。いざとなったら救助に向かうのはまず山小屋のスタッフさんたちですもんね。きっと色んな緊急事態に対処なさってきたんだろうな。僕も気を引き締めて下山しなくちゃ。
6時前。テントに戻ってきました。
名残惜しいけど撤収開始です。一つずつ丁寧にザックの中に仕舞っていきます。
テント以外のパッキング完了。
いや、ほんとにここでキャンプしたんだなぁと感慨に浸りながら最後にテントを畳みます。
またいつか三俣山荘にきっと来よう。そう誓って下山にかかります。
朝6時半。北鎌尾根を遠望しつつ三俣蓮華岳の尾根を登って行きます。ハイマツのトンネルをいくつも抜けて三俣分岐を目指します。
振り返ればまだ鷲羽さんのシルエットがどーんと見えてます。
巻き道と稜線ルートとの分岐点まで戻ってきました。帰路は三俣蓮華岳の頂上方面に向かいます。
三俣蓮華岳頂上です。ここは岐阜、富山、長野の三つの県境が交錯する地点です。標高2800mの稜線に上がるとすっかりガスに巻かれてしまいました。視界なしです。
稜線ルートを双六岳に向かって歩きます。
度々完全ガスに巻かれます。10m先が見えません。方向感覚を失わないようにコンパスを見ながら慎重に歩きます。
ガスに巻かれて視界が悪くても高山の花はそっと足元で咲いています。なんだか励まされます。これはアオノツガザクラ。
咲き始めたばかりのタカネヤハズハハコ。
「高嶺矢筈母子」と書き花言葉は「愛しむ」。
別名「タカネウスユキソウ」。
日本海側からどんどん雲が上がってきます。風があまりないことは幸いでした。
雪田を越えてしばらく歩いた頃…
さっきまでガスに巻かれていた西側の景色が一気に晴れ渡りました。北の俣岳へと続く壮大な稜線の中にどどーんと鎮座する黒部五郎岳が現れました。この瞬間が今回の山旅で見た景色の中で一番印象的でした。氷河の痕跡を残す黒部五郎のカールが感動的なものだということはよく知られていますが実際に初めてそれを遠望したときのこの感動は一言では言い表せません...。
東に目を向ければ北アルプスの盟主である槍穂の雄姿。この稜線ルートのどこを見ても壮大な景色は忘れがたいものとなりました。
双六岳頂上と中道との分岐まで来ました。
予定通り双六岳頂上へ向かいます。ザックをここにデポして身軽に。往復30分でした。
キバナシャクナゲがたくさん咲いています。
双六の頂きです。
さっきまで晴れていたのに一気にガスに包まれました。
このクジラの背中の先に槍ヶ岳が見える景色を見たかったですが今回はお預けですね。
デポしておいた中道分岐まで戻って来ました。
チングルマが咲いています。綿毛になった姿も見たいですね。
一日ぶりに双六小屋まで戻って来ました。
往路では時間があまりなかったので長居しなかったんですが帰路ではここでお昼ご飯休憩を取ります。三俣山荘キャンプ場を出たのが朝の6時半。ほとんどガスに巻かれて視界がよくない稜線を無理せずゆっくり慎重に歩いてここまで戻ってきました。この時点で午前9時過ぎ。途中、中道分岐でザックをデポして双六岳を往復。再び中道経由で双六小屋へ降りてきましたが3時間弱かかりました。三俣山荘で三俣蓮華岳の山バッチ、ここ双六小屋で双六岳の山バッチをゲットしました。
無事にここまで来れたことに乾杯。1時間ほど双六小屋でのんびりさせて頂きます。
雨が降ってきたので小屋の中へお邪魔させて頂きました。
お。ギターだ。
自宅でオープンGチューニングでよく弾いたりしてます...。
ここの名物、五目ラーメンです。
小屋の美人なお姉さんが作ってくれました。
感謝!あったかいし美味い。
午前11時双六小屋を後にしました。
午後0時過ぎ。鏡平山荘まで戻って来ました。雨が一旦上がりました。これなら水面は鏡になるかな。
またちょっと降り出してきちゃったけど逆さ槍ゲットです。
【ツマトリソウ】
「褄取草」
鎧の褄取に似ているのが元だとか。花言葉は「純真」「安楽」
小池新道はほんとに花がいっぱいです。
【ゴゼンタチバナ】
「御前橘」
花言葉は「古風」「移り気」
【コイワカガミ】
「小岩鏡」
花言葉は「忠実」
【ミツバオウレン】
「三葉黄連」
花言葉は「栄誉」
【キヌガサソウ】
「衣笠草」
古代王朝時代にその名の所以があるとされる。絹の笠に似ていることから衣笠草。花言葉は見当たらず...。
秩父沢まで戻ってきました。
ここから先は林道歩き。ワサビ平小屋を経て新穂高までラストスパートです。雨が本降りになって来ました。
雨の林道歩きではこの折り畳み傘が役に立ちました。エバニューのカーボン製の傘でなんと100gを切る軽さです。モンベルの傘が128g。これは驚異的。
ハイマツ帯や樹林帯の中では障害物が多くてとても傘はさせません。ましてすれ違いのときには危険です。新穂高の長く広い林道などでは活躍しますね。雨でしっとりした衣類も速乾性ゆえに傘をさして歩いているうちに乾いちゃいます。風さえ強くなければの話ですが紫外線の強烈な稜線で日傘としても使えますね。
なんと90g。
こちらは158g。
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午後3時前。
無事に下山しました。
この後、平湯温泉でひとっ風呂浴びて帰りました。
今回往復で37キロの道程をテント泊装備18kgのザックを担いで一泊二日で歩きました。ゆったり安心して行くなら新穂高から双六小屋までで一泊してその先でもう一泊がオススメです。今回は往路では双六小屋に予定通り13時前に到着したことと復路でも嵐のような天候の大きな崩れはなかったことが幸いして何とか行って来れました。まだまだ経験が浅い身ですので単に運が味方しただけだと思います。双六より先はじわじわとザックの重さが肩に食い込みなかなかきつかったです。そこはトレーニング不足を痛感しました。身軽なULスタイルや小屋泊装備なら日頃運動をしている方ならこの距離は充分に射程圏内だと思います。
なんやかんやで午後6時過ぎに無事帰宅。半日前に三俣山荘にいたことがもう嘘のような感覚です。そもそも昨日自宅を出発して今日帰って...なんだか狐に抓まれたような心地ですがほんとに鷲羽さんの麓まで行って来たんですよね。その証拠に...
ちゃんと山荘でゲットした三俣蓮華岳バッチ(キヌガサソウ)と双六岳バッチ(黒百合)がこうしてあるわけです。ちなみに左下のコマクサは先月の燕岳バッチです。
また一つ、いつか行ってみたかった場所に歩いて行くことが出来ました。達成感たっぷりです。
山でテント泊するのもまだ3度目ですがちょっと考え方が変わって来ました。今まで人と違うモノばかり追求する癖があったんですがモノはあくまで道具であって自分にとって使いやすければど定番モノでも何でもいいって考えに変わりました。
大切なのは自分にとっての使いやすさとその道具に対する信頼と愛着なんだってことを山歩きの色んなシチュエーションの中で山道具に教えられた気がします。
そんな愛すべき道具を永く大切に使いつつ一個一個の山旅が心の中で永久の風景となっていることに感謝するようになった今日この頃です。
最後までお付き合い下さいましてありがとうございました!
三俣蓮華岳と双六岳 (前編)
2019.7.17-18 百名山鷲羽岳を望む三俣山荘キャンプ場にて
今年は人生のやってみたい事リストから「テント装備を背負って絶景を歩いてみたい」に挑戦しております。4年前から日帰り登山は色々とやってました。そろそろステップアップしてアルプスにテントを背負って登ってみたいなと思いまして、毎朝トレーニングを積んできました。
実は記事にはしていないんですが5月に八ヶ岳最南峰の編笠山と西岳にお試しでテント泊登山に行ってきたのでその練習登山も含めると今回で3回目です。
青年小屋のテント場で初めてのソロテント泊登山を体験してたくさんの反省点が洗い出されました。
まず体力、脚力。基礎トレがないとフル装備のザックを担いで1000m以上登っていくのは厳しいことに気がついたことに始まり、ザックそのものの正しい背負い方の手順やパッキングの方法で重心がかなり変わってくることなど色々と勉強になりました。
ソロテント泊登山本番第一弾は6月の燕岳&大天井岳でした。北アルプスの入門地としてメジャーな燕岳。北アルプス三大急登の合戦尾根はほんとにきつかったけど雲海も見れて最高でした!
そして今月は憧れの絶景山岳野営地の一つ、鷲羽岳の麓にある三俣山荘キャンプ場に行って参りました。新穂高(1103m)から三俣山荘キャンプ場にてテント泊、復路で双六岳(2860m)を経由して新穂高まで帰る往復37キロ、最大標高差1757mを一泊二日の日程で山旅して参りました。
まさに雨ばっかりの2019年の梅雨ですが奇跡的にひと月前から予定していた山行日の予報は晴れです。当てにはなりませんが...。下界と山岳地帯との気温差はご覧の通り。高山市内が30度でも山の上は12度です。朝方は一桁。
二日目は午前中まで晴れマークで午後に曇りになってます。でも天気図を見ると前線が北アルプスの真上に居座り続けているのでかなり不安定な状況には変わりなさそうです。何となく午前中には天気が崩れそうな予感がします。午後からは東シナ海で台風に変わった熱帯低気圧の影響で雨は強まりそうです。今回は雨覚悟の下山です。(下山翌日にこの台風の影響で長崎五島列島に線状降水帯が発生)
今回の山旅は北アルプスのど真ん中、百名山の鷲羽岳を望む絶景のキャンプ場、三俣山荘キャンプ場を目指します。深山荘の登山者用無料駐車場からスタートして左俣林道、小池新道、弓折乗越、双六山荘、巻道ルートを通って三俣山荘キャンプ場を目指して行きます。踏む山頂は二座。岐阜、富山、長野の三県の県境が交わる三俣蓮華岳とサッカーできるくらい広いクジラのような山体が特徴的な双六岳です。双六岳は花の百名山としても有名です。
モンベルのトレッキングパック55。
重さを感じない背負い心地で評価の高いオスプレーのアトモスAG65も持ってるんですが毎朝5時に近所をこのままの状態(18Kg)のこのザックを担いで2.5キロ歩いてトレーニングしているうちに体がこのザックに慣れてしまいました。余計なもんがなくてすっきりしたデザインと「重いもんは重いんじゃ。誤魔化さずに己を鍛えろ」と諭さんばかりのこのザックに惚れてます。同じ内容でパッキングしてみるとアトモスAG65は確かに重量以下に感じるまさしく(AG)アンチグラビティーなザックです。ただウエストのポーチって言うんですか、そこが大きくて歩くとき邪魔に感じるんです。ここは好みの問題ですね。いっぱい入っていいじゃんて人もいるだろうし。トレッキングパック55のウエストポーチはスマホ(iPhone6s)がギリ入るくらいの大きさしかありません。55リットルと謳いながら雨蓋部分までびっしり収納できるので65リットル程度のキャパはあります。背中の通気性はありません。でも今回の夏山の北アルプスはご存知の通り最高気温で12度から15度で涼しいし朝晩は一桁台です。背中が暑くてしょうがないということはまずありませんでした。
テント、マット、寝具、雨具、着替え、防寒着、食料、水、バーナー、コッヘル、応急用品、カメラ、などなど総重量18キロ。
変わった装備としては...
- 以前下山中の登山道にスズメバチが居座っていて困った経験からスズメバチ撃退スプレー
- 三俣山荘キャンプ場はコバエや虫が多いとの情報からディート入り虫除け
- 標高2600m前後の稜線歩きは焼けるのでサンオイル
- 今年の奥飛騨は熊の目撃情報が例年よりも多いとのことで熊撃退スプレーも装備しました。何年か前に笠ヶ岳クリヤ谷で熊に襲われたものの巴投げで撃退したという凄い登山者がいましたがそんな猪熊ジゴローみたいなこと不可能なので撃退スプレーで備えます。重くなるけど万が一です。
まずは深山荘登山者用無料駐車場(標高1090m)からスタートです。
新穂高登山指導センター前です。予報通り天気は晴れ。晴れれば天国、雨なら地獄ほどの差がある山旅ですが今日はラッキーです。
蒲田川左俣谷。雪代が入って水量は少し多めのようです。
長い林道歩きのスタートです。
カーブミラーで自撮り...。
ファイントラックの「ニュウモラップフーディ」。これが絶妙な山アイテムでして、ウィンドブレーカーでもあるし小雨程度なら撥水するし…生地が柔軟でカッパみたいにガサガサと音がしないんです。脇下から下に向かってリンクベントというジッパーが付いていて衣服内に溜まった熱を一気に放出してくれます。小雨が降ったり止んだりの微妙な天候や風が吹く稜線など刻々と変化する状況にほとんどこれ一つで対応できます。ただ一つ難点は...値段ですかね。。
舗装路と砂利道が交互に現れます。
ゲート横からお邪魔します。
まずはワサビ平を目指して歩きます。
小池新道を登って弓折乗越まで上がって双六小屋、三俣蓮華岳のカールの麓を歩いて三俣山荘がゴールです。いやはや遠い。
朝6時。涼しくて気持ちの良い林道歩きです。
緊張するな~。。
傾いてますかね…。とりあえず渡れました。欄干が雪の重みでぐしゃぐしゃに曲がってます。
これが最強にキツイと評判の笠新道ですか。たぶん一生ここは登らないなぁ。
新穂高登山者指導センターから1時間ほどでワサビ平小屋に着きました。
ザックを下ろして一休み。ちなみにバンジーコードで括り付けられているのはニュウモラップフーディです。稜線に出て寒かったら着ようと思います。
水分補給とエネルギー補給です。今回の山行で持参したカロリーメイトは8袋(16本)=1600キロカロリー。上りで3袋、下りで2袋、予備で3袋。
ワサビ平小屋名物ですね。
夏場の林道の合間に冷えた果物や野菜があったらそりゃ食べたくなりますって。
休憩を終えて林道歩き再開です。前を素敵な夫婦が並んで歩いてます。なんかいいなぁ。サトウハチローの詩みたいだ。
事前に調べていて一番怖そうなポイントに来ました。しっかし2、3m落下って...。
あ、確かにやばそうです。雪渓おそるべし。
こちらは雪庇。これも危ない。さっきの雪渓も下は空洞状態でしたね。踏み抜いてこの高さから転落したら荷物18キロと体重65キロ合わせて83キロの衝撃が。それに崩れてきた雪の塊に埋もれる可能性も。…恐ろしや。
雪渓もやり過ごして爽快な山歩きです。まだ素敵なご夫婦の後を距離を保って歩いてます。
奥丸山の分岐まで来ました。
ここを渡って槍ヶ岳まで行くルートもあるわけですか。いつか歩いてみたいな。
コースタイムで鏡平まで3時間半。双六小屋まで5時間50分。行くぞ~!
平坦な道も終わってここから小池新道、本格的な登りです。
登りやすいように石段になってます。山小屋の皆様の仕事に感謝です。確か双六小屋の大将さんて小池さんでしたよね。てことはその小池さんが整備なさってるのかな。歩きやすいです。ありがとうございます!
向こうに100名山の一つ、焼岳が見えます。
前にULスタイルの若者3人。かっこいいな。PEAKSによく出てくるスタイルそのものですね。ほんとに軽そう。ULってたしかテント泊装備でも総重量一桁の人もいるんですかね。だとしたら僕の半分じゃないですか。軽い分遠くまで歩けそうですね。でも僕は41になってむしろ体を鍛えたいのでオーソドックスなテン泊重装備ザックでがんばりたいと思います。
白山石楠花の花が綺麗です。
秩父沢まで来ました。
秩父小沢で顔を洗いました。冷たくて気持ちいい!
1時間おきにザックを置いて肩を休めます。さっき見たULスタイルの方々が目に焼き付いてさらに重く感じる。あ、いや。気のせいです...。
車百合のオレンジ、綺麗です。
チボ岩まで来ました。
イタドリが原まで来ました。
シシウドが原で一休み。歩いてきた奥丸山分岐の橋があんなに遠くに見えます。
新穂高から1000m上がって来ました。
この岳樺がちょいちょい道を横切ってまして。足元ばかり注意してると頭ぶつけます。いや、ぶつけました。
熊の踊り。見てみたい気もします…。くまモンみたいなゆるキャラ音頭だったらここでコーヒー淹れながら鑑賞したい。
あと500mで昼メシ!
ついに鏡平山荘の木道です。
おぉ、ここがよく写真にでてくる逆さ槍の鏡池ですね。
ガスって槍なし…。
午前11時。新穂高から5時間。ほぼコースタイム通りで鏡平山荘到着です。さあお楽しみの山荘ランチタイムじゃっ!
山旅の楽しみの一つ。山荘で頂く山荘飯。重いザックを下ろして休憩です。
生一丁っ!
醤油ラーメンを注文しました。控え券に具のレイアウトが書かれてますね。
これが美味かった!1000円もする山のラーメン。下界から荷揚げしてる分高い。が、普通に美味い!
教養度を測られてみました。
まあまあだね。
楽しいお昼休憩でした。ありがとう鏡平山荘さん。
槍・穂高、西鎌尾根が見渡せるナイスロケーションな山小屋です。
腹ごしらえを済ませて出発!
鏡平から弓折乗越間の残雪。
ヨツバシオガマですね。
[四葉塩釜]
葉っぱが確かに美しい。葉まで綺麗。浜で綺麗。浜で綺麗は塩釜。だから四葉塩釜...。ちょっと強引じゃ。
花言葉は「誘惑」。個人的にはBELOVEDの方が好きです。違うか。
オオバキスミレです。
[大葉黄菫]
花言葉は「慎ましい喜び」
なるほどね。慎ましいかも。
サンカヨウです。
[山荷葉]
雨に濡れると花びらが半透明になる。花後の実はブルーベリーみたいで食べれる。
花言葉は「親愛の情」
[信濃金梅]
葉っぱがギザギザで花は少し大きめです。
花言葉は「恋・呪い」
[白山一華]
花言葉は「幸せを招く花」
鏡平山荘を遠望。
弓折乗越の立て札が見えました。
この中にいます。わかります?
完全に保護色ですよね。
ここです。お腹の白い部分が見えてます。ヒナがそばにいるようです。天敵の鷹などが飛んでいない曇天などはこうしてハイマツ帯から外に出てくることが多いそうです。
クロユリベンチ付近で標高2600m。
ベンチ発見。楽しみにしている黒百合にもうすぐ会える。
おおおおおおおおおおお!!!
素敵過ぎます。黒いってのがまた渋い。魔女宅でもおかあさんが言ってました。黒は女を美しくするんだって。
ソバナのブルーの綺麗だけどやっぱり双六エリアといえばこの花ですよね。
[黒百合]
花言葉は「恋・愛」と「呪い・復讐」
呪いについての俗説は「佐々成政と黒百合」のストーリーが有名ですね。
ミヤマリンドウ
[深山竜胆]
花言葉は「正義」
古来から漢方薬として親しまれてきた花。根をすり潰した粉は熱さましの効能があるがとても苦く、それが竜の胆とされた...そうです。
クロユリベンチで西鎌尾根を眺めて小休止。
樅沢岳と前樅沢岳を前に見ながら山道をしばらく歩いて行くと...
バっと景色が開けて赤い屋根の双六小屋が現れました。これには感動。
小屋の向こうには鷲羽岳がどーんと聳えます。
一旦降りて再び登り返します。
目の前には双六池。さんざん写真で見てきた景色が目の前に。じーん。
午後1時過ぎ。新穂高から6時間半。
無事に双六小屋まで到達できたことにまず感謝です。
元気も回復してさらに奥へ。
鷲羽の麓、三俣山荘を目指して進んでいきます。
双六分岐まで来ました。往路では巻道を使います。正面に丸山2854m。その隣に三俣蓮華岳2841m。一番右手に祖父岳(じいだけ)2825mです。
「1時間歩いて5分休む」
マイルールです。
肩を休ませながら進みます。
三俣蓮華岳カールはハクサンイチゲやミヤマキンポウゲのお花畑です。
北鎌尾根ですね。ギザギザです。よくあんなとこ挑戦する人いるなぁ。凄い人がいるもんだ。
三俣蓮華岳の残雪を源に冷たく透明な北アルプスの水が流れていきます。
赤肌の硫黄尾根の向こうに先月歩いた表銀座と大天井岳2922mが見えます。
鷲羽岳が正面に見えてきました。
午後3時過ぎ。18.3Kmの道程を経てやっと着きました!
「憧れの山岳風景」一つ達成の瞬間をカメラに納めます。
なんつー美しさでしょうか。ここはほんとに日本なんでしょうか…。
ここがまさに黒部の山賊の舞台。戦国時代に佐々成政軍が針ノ木峠を越えて行ったというのもすごい話ですが...。高天ヶ原の金脈伝説やら成政の埋蔵金伝説やら僕にとってロマンが沢山詰まってるエリアです。
とにかく感動です。じーーーーん。
プロジェクトXの放送を拝見させて頂いて以来、いつか来てみたかった三俣山荘。黒部山賊。北アルプスの奥地。
ほんとに来てしまった。
雲の平。いつか行ってみたい場所が歩いて3時間のところ。
テント泊受付を済ませていざテン場へGO!
愛幕トレックライズ1と鷲羽岳様。
「憧れ」達成です。
絶景を前にテントの中でまったり宮城峡タイム。
スキットルにはスイートな宮城峡。
そこに山荘で買ったネクター。
バームロールを摘んでまったり。
午後6時。
山の端に日が沈んでいきます。
後編へつづく
梅雨の合間に完ソロソロひるがのキャンプ
2019.7.1-7.2 ひるがの高原
今シーズン二度目のひるがの高原にやって参りました。
雨予報の平日ということもあってかこの日は貸切状態でした。でも13日からの連休はもう予約で満杯だとか…。ラッキーでした。
予報とは裏腹に今のところは曇り空です。
今回は雨がいつ降っても良いようにムササビ張りました。
こちら龍さんサイト。同じくムササビです。
岐阜へようこそ!
ムササビって低く張るとシルエットが美しいですよね。
日本酒いっときます。
雨も降らず貸切のひるがの高原の夜を満喫できてハッピーであります。
龍さんから飯の差し入れ。
良い香り。
んまいっ!ジンギスカンに良く合います。
キャベツまみれの回鍋肉.
いやぁ最高。
キャンプはやめられないですね。
夜更けはスコーンでしっぽりと。
貸切なのでブルースハープを吹きました。
朝方にまとまった雨が降ったようです。
でも6時には降り止みました。
焚き火スタート。
いつものように焚き火で沸かした湯でコーヒーを淹れます。普通に沸かした湯より何故か香ばしくて美味しい焚き火の湯。
鍋焼きうどんもタークで作っちゃいました。万能選手です。
ゆったりとした時間。
龍さん着火の儀。
おぉ。
手慣れたもんです。
次の山行を計画。
龍さんから焼いたフランスパンの差し入れ。
溶かしたカマンベールチーズにディップして食べる。お洒落キャンパーか!
日が差してきました。
雨予報。確かに朝方だけざーっと降りましたが活動中は撤収時含めて天候に恵まれました。ラッキー!
梅雨の草花はみずみずしくて綺麗ですね。ではまた!
燕岳と大天井岳
山旅の記録 no.1 「燕岳と大天井岳」2019.6.22〜23
悠久泰然とした絶景の中でテントを張って過ごしたい。そう思ってしまうとそれは下界のキャンプ場ではなく山の上。文明が極端に少ない場所。
北アルプスの入門的存在、燕岳(つばくろだけ)に行って参りました。登山口の中房温泉からは標高差1200mで燕山荘(えんざんそう)です。だいたい5時間弱歩けば着きますが衣食住全部詰め込んだテント泊装備のザックの重さは17キロ。これを担ぎ上げて登るのはやっぱり大変でした。
でも最高の雲海風景を眼前にテン泊してみたくて頑張って参りました。
梅雨真っ只中、雨予報。合戦尾根を登って行きます。
合戦小屋まで登って一休み。
かき揚げうどんを頂きました。
岩鏡に癒されながらのんびりと登って行きます。登山口から四時間半ほど歩き…
燕山荘に到着です。
山荘で幕営手形をもらって設営完了です。
設営終わった時間が13時手前。ちょうど晴れ間も見えてきたので燕岳に登ってきます。テン場から20分かからないほどで登頂できます。
何とも優美なお姿。燕岳、美しいです。
山頂に向かう途中にある有名なイルカ岩です。気になったのはその左手にある岩でした。いいね👍マークに似ている…。
もう👍にしか見えない。
イルカさんこんにちは。
これも有名な眼鏡岩ですね。
コマクサです。まだ蕾ですね、
登頂です。
燕岳、ほんとに綺麗な山です。
テン場まで戻って来ました。また雲行きが怪しい。
風も出てきました。稜線直下のテン場なので強風に要注意ですね。
通常のペグは役に立たないので落ちてた太めの枝を雪ペグ代わりにしました。国産メーカー、アライテントは風に強いので心強いです。
再び燕山荘に戻って来ました。この後は山荘でしばらくのんびりさせて頂きます。山男さん、ただいまです。
燕山荘は海抜2700mにある山小屋とは思えないほど立派な山荘です。
ぱんぱんに膨らんだカッパえびせんをつまみに生ビールを頂きます!
三時間ほどの間にビールを何杯かおかわりしちゃいました。僕の場合、登山というか絶景に来て呑みまくる…下界でキャンプしているのとやっていることは大差なかったりします。
燕岳を背後に絶景キャンプ。標高差1200mを17キロのザック担いで登って来た甲斐がありました。
午後6時。雨風ともに出てきました。
夜になるにつれて雨も本降りになりました。携帯を充電し、明朝の雲海を楽しみに眠りにつきました。
テントの外で雪を踏む足音で目覚めました。あまりに近くで足音がするので外を見てみると朝日待ちの人が立っていました。おはようございますと挨拶するとタイの方でした。
時計を見たら午前4時を過ぎたころ。まだ日の出まで20分ほどです。
とりあえず目覚めのコーヒーを淹れます。
4時半過ぎ。日が昇ってきました。
何と美しい雲海でしょうか。
雪の壁にも朝日が当たって美しい。
燕山荘に泊まってる人も日の出を迎えるために大勢外に出て来ます。
ゆっくり淡い朝日色に染まっていく雲海。
雪の上のテントからその絶景をコーヒー片手に鑑賞します。なんとも贅沢な時間です。
この光景を見たかったわけですがほんとに来て良かった。
雲海と反対側。槍ヶ岳や黒部五郎、双六岳、鷲羽岳など錚々たる北アルプスのオールスターも朝日に染まっていきます。
テン場目の前の燕岳も。
朝飯食べますよ。
5時半。ラジオから聞こえてきた予報では午前中いっぱいは雨は降らないとのこと。ラッキー!
食後のコーヒー。
荷揚げのヘリ。
今日は表銀座を歩いて大天井岳(おてんしょだけ)2922mまでピストンして来ます。
テント内をある程度整理したら出発です。
燕山荘から表銀座縦走路を見渡します。奥にある大きな山が大天井岳2922mです。コースタイム片道三時間ほどです。
しばらく歩いて振り返って燕山荘を眺めます。
鎖場。
イワウメ
サブザックなので身軽です。
喜作新道のレリーフ。
もう一息で大天荘。
雲海がだんだん上がってきます。
大天井岳ふもとにある山荘の大天荘テン場です。
ここは穂高の特等席ですね。今度来よう。
ここも立派な山荘です。同じ燕山荘グループ運営です。有明荘も燕山荘グループ。全部良いところですね。
登頂!
なぜか二十五円。
無事の下山をお祈りします。
いつかあそこからブナ立尾根を登って烏帽子岳の池のほとりのテン場でキャンプしたいです。あそこも絶景キャンプが期待できるようです。
以上、今回の山旅はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございます!
「トレックライズ1と燕岳」
笠ヶ岳ブルーと平湯キャンプ
今年も平湯キャンプ場へ行って参りました。その様子をかいつまんで記事にしてみたいと思います。
何度もお邪魔してるこの赤い建物。なんかホッとします。受付を済ませていざサイトへgo!
ネコノメソウみたいなのがいっぱい咲いてました。
笠ヶ岳ビューな北側のサイトにddハンモックを設置しました。雪の笠ヶ岳を見ながらキャンプできるってのが平湯キャンプ場の好きなポイントの一つです。今年は快晴の青空バックでさらに贅沢な眺めです。
ddハンモックにddタープです。ハンモック掛けやすそうな木の配置を見ながらサイトを回るのも楽しいですよね。
北側の車一台分くらいの樹間を探してここにしました。前方方向にも丁度良い木があってタープを跳ね上げるのに助かりました。
設営完了後にひとっ風呂。
今年もやって参りました。
やっぱりここは最高です。源泉掛け流し。熱いときもあれば温いときもある。今日は珍しく適温でした。
サイトに戻って焚き火スタート。
タークで焼くだけの手抜き料理です。
焚き火したくてキャンプしに来てるので料理なんて適当でいいんです…。
今夜は大好きなリースリング。爽やかな酸味が最高に美味い白です。
ダウンロードしてきた映画を鑑賞。
こうして夜も更けていきました…。
朝。
鳥のさえずりに包まれて目が覚めました。
笠ヶ岳ブルーの朝。
今朝も爽快なお天気です。
こじんまりとした一人キャンプのレイアウト。時に屋根、時にテントに化ける。ddタープ最高!
薪割りは二度身体を温めるとはよく言ったものです。すでに暑い…。
小割りにしていきました。
さらにフェザーに。
朝の焚き火の準備完了です。
トランギアちゃんでお湯を沸かしまする。
今朝はロイヤルミルクティー。
12個だからダースです。(古っ!)
10時半過ぎに早目の昼メシ。
なんちゃって高山らーめん。正直しょっぱい。
11時。そろそろ撤収始めましょうか。
今回も平湯キャンプは楽しかった!
笠ヶ岳ブルーも満喫できました!
撤収完了です!
帰りに旅の安全祈願。平湯神社にお参りです。
からんからーんと鳴らしてお賽銭入れて来ました。帰路の無事を祈ります。
と、言うわけでまたブログでお会いしましょう!YouTubeチャンネルも今後とも宜しく御願い申し上げます。
天狗岳と千代田湖
二年ぶりに訪れた千代田湖キャンプ場はやっぱり綺麗でした…。今回は北八ヶ岳最高峰の天狗岳登山の記録と合わせて記事にしました。また暇なときにでも読んでやって下さい。
天狗岳登頂
山行予定は二週ほど延期されていた。
一度目は雨続きでウクレレの塗装が進まず仕事の切りが悪すぎた為に一週間の延期。二度目は工房に来客予定が入った為。いよいよ行こうかと思った10月11日の朝、今度は長女が風邪をひいてしまった。そして次の予定日は18日。
山頂は曇り予報。やっと山歩きに行ける。雨や雪予報でさえなければ行こうと決めていた。車のトランクには日帰り用ザックとソロキャンプ道具一式を前日に積み込んである。あとは車に乗り込んで長野に向かうだけだ。17日、家族と夕飯をともにした。山岳保険の連絡先を明記した登山計画書を妻に手渡した。言っても分からないだろうけど一応一通りのルートと予定を説明した。ごく一般的な唐沢鉱泉から西尾根を経由して西天狗を目指すルートだ。山岳事故は何でもないことから起きる。どんなメジャーなルートだろうと必ず家族には伝えてから出かけることにしている。娘二人を抱き上げ行ってきますと言って午後7時に家を出た。
中央道を走って出発からノンストップで走り、2時間ちょっとで諏訪湖SAに着いた。諏訪の街明かりが綺麗だ。闇の向こうに明日登る八ヶ岳連峰がきっと隠れている。九月初旬にニュウに登ったときよりも風が冷たい。諏訪の秋の深まりを肌で感じた。天狗岳山頂はもう冬仕度の季節だろうか。
諏訪湖SAは車中泊に適していると思う。売店もレストランも24時間営業している。ここのレストランのけんちんうどんは野菜が多くて美味い。当たり前だろうがお茶も無料なのが嬉しい。21時半最終受付で風呂にも入れる。まさに車中泊の楽園的なSA。登山口駐車場で車中泊するのが一般的だ。八ヶ岳ならここで前泊して1時間ほど走って登山口に行く方が快適だと思う。登山口とは違って最高級のトイレもある…。翌日に残ってしまわないようにノンアルコールで晩酌。映画を一本観ながら眠りについた。
朝四時前に起床した。とても良く眠れた。寧ろ家より快適かも知れない。ここから唐沢鉱泉登山口まで一時間弱。外気温計は五度。車外に出てみると冷たい風がゆっくり吹き抜けた。山中はさらに寒いだろうなと思って一枚多くインナーを重ねた。洗面所で顔を洗って歯磨きを済ませ一路登山口へと車を走らせた。
未舗装路をしばらく走り五時前に唐沢鉱泉に到着した。辺りはまだ日の出前で暗い。準備を済ませ腕時計の標高値を唐沢鉱泉1880mにセットして出発した。GPSで等高線を細かく確認しながら道を外さないように注意して歩く。まだ鳥の囀りもなく自分の足音以外は何も聞こえない。
未だ見ぬ日の出は少しずつ上がり始めているのか周りの景色もうっすらと見えてくる。一時間ほど歩いて六時を回ったころ太陽が尾根の方から差し込んできた。
薄暗い樹林が明るく照らされる。冷たい空気と暖かい日差し。山で心待ちにして迎える朝。日の光が肌に当たって暖かい。
森の中の植物も日の光を浴びて朝を迎えている。なんだか葉っぱも嬉しそうに見えた。一人で登る山は森の木々や動物、葉っぱや青空、なにより太陽がいちいち嬉しい。普段感じない自然の魅力に溢れている。だからまた来たいとすぐに感じてしまう。
枯尾の峰からの道と合流して尾根に出た。そこからしばらく歩いて行くと一気に視界が開けた。遠くに南八ヶ岳の山並みがお目見えする。薄暗い森の中をずっと歩いてきたからなおさら爽快だ。南八ヶ岳の名峰がズラリ。赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳。来年は登ってみたい。写真が下手くそ過ぎて伝わらない。ものすごい壮大な景色。
西側には雲に覆われた茅野の町や南アルプスが一望できた。夜明け前の薄暗い森の中から明るい大展望の尾根に出るこの瞬間は思わず感嘆の声が出た。ここから西天狗岳に向かって再び樹林帯に入ってしばらく歩く。
西天狗岳登頂まであと一息。頂上直下の岩場を登る。
朝からの樹林帯歩きで登山靴もいい感じに汚れた。
岩場を登りきった後、ハイマツ帯を抜けて山頂へ。そこときの様子の1分動画をインスタグラムに貼り付けておいた。
北八ヶ岳最高峰、西天狗岳からの景色です。#北八ヶ岳 #西天狗岳 #登山
人生最高峰。2646m。
馬鹿でかい雲が目の前を流れていく。空が近い。
小腹すいたのでカレーメシを食う。これ、初めて食べたけどもなかなかいける。山で食うインスタントはなぜ何でも美味いんだろうか。
東天狗岳登頂。雲が広がりだした。
こっちは2640m。西より6mだけ低い。
最高の気分で東天狗を後にした。
延々と続く岩の路、天狗の奥庭を黒百合平に向けて山を下りて行った。
東に目を向けると二年前に立ち寄ったしらびそ小屋の屋根とみどり池が見えた。八ヶ岳はいつ来ても最高だ。
千代田湖へ
唐沢鉱泉に下山した。出発したときは真っ暗で何も見えなかったがとても紅葉が綺麗だ。
せっかくだから温泉に入って行こう。
この日の一番客だった。
千代田湖に向かう途中で昼ご飯。
諏訪の老舗ラーメン屋。
おススメはにんにくラーメンだったことを後で知った。ハルピンラーメンじゃなくて。どうでもいいがラーメンなら個人的には「くるまやラーメン」が一番好きだ。少年時代に東金市でよく食べていた。味は全く違うのになぜかそれを思い出した。
諏訪から高遠に向かう。およそ四十分ほどで千代田湖に着いた。
誰もいない。広い景色にぽつんと一幕。ラジオでは夜半から小雨の予報だ。
小雨と聞いてタープを張るか迷った。はっきり言って降りそうな気配はない。でも夜にタープを張るのは億劫なので念の為張ることにした。
パンダを設営した目の前に直火跡があった。よくみるとそこらかしこに同じような跡がある。キャンプブームの残骸が痛ましい。
炭は土には還らない。このままだとここは近いうちに利用できなくなるかもしれないなと思った。寂しい気分だ。
タープを張ったころに日が落ちた。
今回はピコグリル398。
焚き火道具箱オープン。
今宵の焚き火場。
ザクザクと薪割り。
薪割完了!
徐々に闇の帳が降りてきた。この笑'sのテーブル、なんか好きなんだよな。
湿った薪を五徳の上で乾燥。
ucoの灯りが今夜もいい感じ。
薪を焚べては甲州を呑み夜は更けていく。
静かな千代田湖の夜。バチッと爆ぜる火。
この日公開の文庫本を嗜みながらあまりの心地良さにウトウトしてしまった。
ふと半分眠りかけてた意識の向こうから自分を呼ぶ声がした。
「…さん。…さーん」
龍太郎だった。
そうか今夜は仕事上がりにここへ駆けつけると言っていた。お疲れ様である。
龍太郎はタトンカにムーンライト。ファイアボックスは新調したらしい。今夜は初火入れ。
無事に着火成功。おめでとう。
春の平湯以来半年ぶりの再会に乾杯!
アスパラとポテトのベーコン巻き。
千代田湖で焚き火。まったり。
今夜も満足な夜だった。
起床。
もう龍太郎は撤収して出勤したようだ。対岸までカメラを持って散歩。
薄く霧が立ち込めている。
少しずつ日が差してきた。
標高1200mの湖で迎える朝。
昨日は森の中で朝日を迎え今朝は湖のほとり。さあ朝飯にしよう。
今朝は「鬼うまい」らしいどん兵衛。
鬼まで行かないが美味かった。
珈琲を淹れて昨日の文庫本の続きを読む。
読破した後は
鴨を眺めて望遠で写真撮ってみたり
木材運搬車を撮ってみたり
最後に後ろからパンダ撮って
撤収開始。
ゆっくりできた。千代田湖、ありがとう!
同業キャンプからの大日ヶ岳縦走
雨の中休みとなった3連休のひるがの高原キャンプ場。受付の話ではこの日はおよそ150組が宿泊とのこと。小さな街灯りのような景色。
今年4回目のひるがの高原はとても賑やかな雰囲気に包まれていた。
今夜は地元仲間のN氏とキャンプ。N氏は僕と同業の楽器製作業。彼は名古屋の鈴木バイオリンから独立して今はギター製作者。近所の中華料理店などで呑んだりはしているがたまには外でということで秋のひるがの高原に連れ出した。
外でじゅうじゅうと焼く豚串。そりゃ旨いに決まってる。
ユニセラは何を焼いても最高だ。
夜は更けていく。お互い仕事の話なんぞ一切持ち出すことなくファイアボックスの小さな焚き火を真ん中に据えて互いに火を弄りながらちびちびと酒を呑んで過ごした。
気温14度でひるがの高原の夜はおでんが旨くなる季節になって来た。
こっちはウクレレ、N氏はギター。
同じ岐阜の同じ町。こんなど田舎でこんなにも儲からない稼業をしているやつが二人…。
地味に続けて行ける程度。決して儲からない。ロマンを仕事にすることの現実。それもありか。
しかし毎月決まって25日に給料が振り込まれていた事…その有り難みを自営に転じた当初はつくづく感じた。
会社の愚痴をこぼすのも甘えられる相手あっての事だと思い知った30代半ば。前厄年を迎えた今になってしみじみと無謀な過去を振り返るのも秋キャンプの醍醐味かも知れない…。
互いのテントに分かれて一人シュラフにくるまりながら取り止めとなく仕事のことを考えてしまった。
せっかく非日常のキャンプに来ているんだ。仕事のこと考えるのはやめて寝よう。
いつもより早めの23時にたねほおずきの灯りを落とした。
朝6時。
今朝も秋雨の時期にラッキーな晴れ間が続く。
目玉焼きを作った。
昨夜の残りの厚切りベーコンと目玉焼き、スライスチーズを挟んだ。横着な自分にはホットサンドは手軽に旨くてもってこいなモーニングメニューだ。
卵スープを添えて頂いた。
朝8時過ぎにキャンプ場を発った。まずは自分の車を大日ヶ岳水道山登山口に置きに行った。
そのままN氏の車に乗せてもらい、高鷲町のウィングヒルズにある桧峠登山口まで送ってもらった。
N氏は一足先に美濃加茂に帰った。
登山口で標高900mちょっと。9/22は紅葉にはまだ早い。桧峠登山口から登るとまずはウィングヒルズからのロープウェイ山頂駅を目指して自力で登る。
※写真は借り物です!
ゴンドラ山頂駅からは標高1550mちょっとの水後山を目指す。ここから少し上がると爽快な稜線歩きを楽しみながら標高1650mちょっとの鎌ヶ峰へ。その先に主峰1709mの大日ヶ岳の頂きへ。
※写真は借り物です!
大日ヶ岳山頂から一服平方面へ下山路を取り、水道山登山口に向けて歩き通す全長11キロのプチ日帰り縦走。水道山登山口はひるがの高原キャンプ場寄りにある。ウィングヒルズからひるがの高原側まで歩くことになる。
※写真は借り物です!
通常、大日ヶ岳登山は図のように各コースごとに大日ヶ岳山頂を目指す。片道7キロの健脚コースであるAコースをピストンすれば往復14キロにもなる。N氏が送ってくれたがためにCコースからAコースまでを踏破する、Aコースピストンよりも短い11キロの贅沢な縦走路ができた。ウィングヒルズにもキャンプ場がある。ウィングヒルズで幕営してロープウェイで一気に標高1200m付近まで詰めてピストンして満天の湯で汗を流すのが一番爽快であることは間違いない。Cコースは爽快な稜線歩きを経て大日ヶ岳山頂を折り返す。Aコースは途中少しだけ展望が開けるが山頂手前までほとんど森の中の急坂かつ距離も長い。大日ヶ岳登山のメインコースはやはりウィングヒルズ側だろう。アルペングループ、うまいところにリゾート施設を作ったもんだ。
※写真は借り物です!
無事の下山を祈ってN氏はにこやかに手を振って去って行った。水道山登山口に車を置いた以上はもう向こう側まで踏破しなければいけない。予定下山時間は16時前。
鬱蒼とした森からの歩き始め。途中で進行方向左手の森の切れ間にウィングヒルズキャンプ場のテントがちらほらと見えた。時間は9時40分。ぼちぼち撤収し始めるファミリーの掛け声も聞こえた。
歩き始めて30分。プロトレックの計測で標高1180m。進行方向にロープウェイ山頂駅が見えてきた。勾配はかなりキツい。
プロトレックが1200mを越えたころようやくロープウェイ山頂駅が近づいた。
あと一息。
桧峠登山口から50分ちょっとでロープウェイ山頂駅到着。ここの駅に自販機やトイレはないので当てにしてはいけない。水は多めに持参。
白鳥方面の眺め。
水分補給をして出発。
山頂駅から水後山を経て鎌ヶ峰へ。
あとひと月後に来ればきっと紅葉に染まるこの景色が期待できるんじゃないだろうか。この景色の爽快さも素晴らしい。
鎌ヶ峰到着。ここに上がる直前の急登はなかなかのものだった。
鎌ヶ峰を経てもさらに稜線歩きは続く。次はいよいよ主峰大日ヶ岳山頂を目指して歩く。
霊峰大日ヶ岳山頂。ここで昼食にした。
ここまで汗をかなりかいて消失した塩分を補給。
水道山登山口に向けて再び歩いた。
山頂までの稜線歩きから森の中へ。
ふと足元を見ると可愛らしい花に出会えた。
展望が開ける箇所に出た。
再び森。樹齢何年だかわからない立派な木ばかりに思わず立ち止まった。
プロトレックの計測で標高1100m地点。1700mの山頂から600m降りてきた。水道山登山口が950mちょっとだとすればもう一息だ。カロリーメイトでエネルギー補給してラストスパート。
午後15時45分。水道山登山口に到着。
大日ヶ岳山頂からここまでの下りは急坂が多く足に応えた。
昨日キャンプで自堕落に呑み食いして摂取したカロリーの何パーセントかは消費できただろうか。とにかく無事に下山できたことは良かった。
最後まで読んで頂き、感謝です。ありがとうございました!また投稿の折にはどうぞよろしくお願い申し上げます。
雨上がりの北八ヶ岳
秋雨前線が停滞する9月9日。八ヶ岳を歩きに行った。
前日までの雨がひと時上がり、雨粒の雫を纏った無数の苔床を鑑賞しに北八ヶ岳の深い森の中へ。
朝6時のまだ薄暗い森の中。
[もののけの森]と名の付いた深い森。どこまでも苔。
およそ500種もの苔がここ北八ヶ岳に植生している。
気のせいではないと思う。標高2000m上の針葉樹林帯の深い森の中はシャープな空気に包まれている。香り高いというか…深呼吸したくなる場所だ。
シラビソとコメツガ、そしてたくさんの種類の苔床。
セイタカスギゴケ床を接写。徐々に太陽の光が森にも入ってきた。
チシマシッポゴケだ。
ウマスギゴケ
シラビソの幹に張り付いたカギカモジゴケ
すっかり明るくなった。
さらに森の奥へ進むと
木道の先に湿地帯。
ここにも苔群。
湿地帯の奥へ。
[にゅう]への分岐点。
よく見ると誰かが薄く「ゅ」を書き足してくれている。
森を抜けると視界が開けて岩陵帯に変わり
目の前に雲海が広がる標高2352m[にゅう]
眼前を大きな雲海が流れて行く。凄いスケールだ。
スタート地点の白駒池が見える
にゅうを降りて中山峠分岐を目指す。ところどころに台風の爪痕。完全に登山道を塞いでいる。
中山峠分岐を北に折れて中山に向かう。
着いたけれど
ガスって眺望なし。
中山を後にして高見石を目指す途中は大きな水溜りが数箇所。避けて歩くのは困難。
マックパックのゲイターを履いておいて良かった。
水溜りと格闘しつつ休憩など挟み、ようやく…
高見石小屋が見えた。
小屋脇の岩を登って高見石の上に。カメラを取り出して…
岩の上から白駒池を撮影。だいぶ戻って来た。
北に目を向けると遠くに雨池が。
次回はもっと北に行こうか。
白駒池に戻ってきた。
白駒池青苔荘のキャンプ場。
木道を駐車場に向けて歩く。
無事下山。
朝6時スタート、11時過ぎ下山。
5時間のトレッキング。苔の森、にゅうの雲海、高見石からの白駒池。
爽快な景色に大満足。
ありがとう八ヶ岳。
何より無事下山できたことに感謝。
今回登った[にゅう]は天狗岳の北。
天狗岳にもいつか行きたい。
個人の山歩き記事に最後までお付き合い頂き感謝です。ありがとうございました。
ひるがの高原弾丸ソロキャンプ
7月12日夕方5時すぎ。今月下旬に予定していた無印良品南乗鞍が仕事のスケジュールの変更によって行けないことになり…( ;∀;)
今月の予定をどう見回してもソロ行ける日はそうそうなさそうだ。
となれば今からすぐにでも準備して明日の朝に撤収して仕事に戻る弾丸キャンプだ。
ツベコベ言っても始まらない。
思い立ったが吉日。
道具は先日準備してある。
一旦市内に向かい給油とスーパーでの買い出しを20分で済ませて東海北陸道に乗った。
向かった先は自宅から80キロほど。片道一時間ちょっとにある「ひるがの高原キャンプ場」。
標高1000m弱のひるがの高原。
先日の豪雨で全国最多の1000mmを超える雨が降ったひるがの。一部通行止めの東海北陸道は荘川インターまで通行出来ている。(※7/13全線で復旧しました)
ひるがの高原SAスマートICから降りて牧歌の里を横目に一路キャンプ場へ向かった。※画像は帰りに撮影したものです。
ひるがの高原キャンプ場は高原と名の付くものの実際には高原というよりは林間キャンプ場。下界よりは5〜8度低い。いわゆる避暑地だ。
林立する杉林に囲まれたサイトや大きな広葉樹が揺らめくサイトで悠々自適なオートキャンプがサクッと楽しめる。
到着したのは午後7時過ぎ。日はまだあるけど林間サイトはもう薄暗かった。車のルーフレールにルーメナー7を括り付けてサイトを照らしながら設営した。
しばらくすると羽虫がちらほらと灯りに集まってきたのでさっそく森林香を焚いた。この虫取り線香、かなり強力。モクモクと煙が立ち上って周囲に虫がいなくなる。焚き火を焚けばさらに効果的。やっぱり虫は煙を嫌がるのだろうか。
火をおこしてタークで肉を焼いた。今夜はオージービーフ。安物だけどタークで肉を焼けることが嬉しい。
地ビールを呑みながら焚き火。夕方に急に思い立ってひるがの高原にやってきた割には結構楽しめている。
やっぱりここは落ちつく。他県の人はここへ来るのも大変な労力が必要かもしれないし、その価値は十分にあると思う。たまたま岐阜の人間だったから近い訳だけど、とても贅沢なことだと改めて思った。
これまでの事。これからの事。
ソロキャンプなら火の爆ぜる音だけを聞きながらどんな事でもどこまでも思いを巡らせる事が出来る。
今回深夜の焚き火に思ったことは…時間の速さだ。
ついこの前に30歳になったばかりと思っていたらもう今年40になってしまった。きっと50もすぐにやって来る。そしたらあっという間に還暦だ…。
「今を存分に生きよう」
ただ一人、闇夜に火を焚き、深く酔いながら物凄く遠いものと考えていた60歳の自分へ思いを馳せてみたりした。
翌朝5時。
また当たり前のように朝が来た。
とても清々しい朝の杉林からの木漏れ日。昨夜は日付が変わった事も忘れて呑んだくれていたようだ。それにしては二日酔いもなくスッキリとした朝だ。
昨夜から点けっぱなしのランタン。タンク満タンで丸二日持つというスペックはどうも本当のようだ。
今回も熱源は焚き火しかない。火を起こさないと何も始まらない。
そうそう。この斧。
ご存知、スウェーデンの名斧グレンスフォシュのアウトドアアックス。これはほんとに買って良かったものの一つ。初めて手にしたときサイズ感、バランスともにこれまでの斧を完全に凌駕していた。バトニングする必要がなくなる…くらいナイフの出番が減った。
火が安定してきたところでお湯を沸かそうか。
朝の森珈琲はやっぱり美味い。
朝メシはバウルーで。
今朝は飛騨牛まんをバウルーしてみようと思う。ほんとならセパレートじゃないバウルーを持ってくるべきだった。どうせ割って食べるんだからいいか。
直火に突っ込んで焼くってのが気持ちいい。
さてどんな仕上がりか…
カリッとして肉はジューシー。
ゆるキャン△でリンちゃんがやっていた豚まんだか何かをこうやって挟んでいたのを真似したくなったわけで…。
確かに美味い!
朝7時。すっかり日が昇ってるけど杉林のサイトは程よく木陰があって心地良い風も通り過ぎて行く。ひるがの高原キャンプ場が好きなのはこの爽やかな朝。何度でも来たくなる。
ここより標高が600mほど高い南乗鞍は日差しを遮る木陰がサイトによってはない。ひるがの高原キャンプ場はどのサイトも高い樹木によって直射日光にさらされることはない。
真夏の避暑地としてこれほどのグッドロケーションは他にないと思う。
爽やかさも相まって朝メシもバンバン進む。
ひるがの高原ソーセージ。
行きがけのSAで買ったもの。安定のジューシーさ。直火タークで旨味も全部引き出されてるかな。とにかく美味かった。
食後も静かに焚き火。
午前8時。
弾丸な割に今回も充実した。
9時には工房に戻って仕事だ。そろそろ撤収しよう。
片道一時間にこんな素晴らしいキャンプ場。
ほんとに贅沢だ。
また来よう。
ありがとうひるがの高原。
最後まで閲覧頂きありがとうございました。
またどうぞ当ブログにお越しください!
[ひるがの高原弾丸ソロキャンプ/完]