天狗岳と千代田湖
二年ぶりに訪れた千代田湖キャンプ場はやっぱり綺麗でした…。今回は北八ヶ岳最高峰の天狗岳登山の記録と合わせて記事にしました。また暇なときにでも読んでやって下さい。
天狗岳登頂
山行予定は二週ほど延期されていた。
一度目は雨続きでウクレレの塗装が進まず仕事の切りが悪すぎた為に一週間の延期。二度目は工房に来客予定が入った為。いよいよ行こうかと思った10月11日の朝、今度は長女が風邪をひいてしまった。そして次の予定日は18日。
山頂は曇り予報。やっと山歩きに行ける。雨や雪予報でさえなければ行こうと決めていた。車のトランクには日帰り用ザックとソロキャンプ道具一式を前日に積み込んである。あとは車に乗り込んで長野に向かうだけだ。17日、家族と夕飯をともにした。山岳保険の連絡先を明記した登山計画書を妻に手渡した。言っても分からないだろうけど一応一通りのルートと予定を説明した。ごく一般的な唐沢鉱泉から西尾根を経由して西天狗を目指すルートだ。山岳事故は何でもないことから起きる。どんなメジャーなルートだろうと必ず家族には伝えてから出かけることにしている。娘二人を抱き上げ行ってきますと言って午後7時に家を出た。
中央道を走って出発からノンストップで走り、2時間ちょっとで諏訪湖SAに着いた。諏訪の街明かりが綺麗だ。闇の向こうに明日登る八ヶ岳連峰がきっと隠れている。九月初旬にニュウに登ったときよりも風が冷たい。諏訪の秋の深まりを肌で感じた。天狗岳山頂はもう冬仕度の季節だろうか。
諏訪湖SAは車中泊に適していると思う。売店もレストランも24時間営業している。ここのレストランのけんちんうどんは野菜が多くて美味い。当たり前だろうがお茶も無料なのが嬉しい。21時半最終受付で風呂にも入れる。まさに車中泊の楽園的なSA。登山口駐車場で車中泊するのが一般的だ。八ヶ岳ならここで前泊して1時間ほど走って登山口に行く方が快適だと思う。登山口とは違って最高級のトイレもある…。翌日に残ってしまわないようにノンアルコールで晩酌。映画を一本観ながら眠りについた。
朝四時前に起床した。とても良く眠れた。寧ろ家より快適かも知れない。ここから唐沢鉱泉登山口まで一時間弱。外気温計は五度。車外に出てみると冷たい風がゆっくり吹き抜けた。山中はさらに寒いだろうなと思って一枚多くインナーを重ねた。洗面所で顔を洗って歯磨きを済ませ一路登山口へと車を走らせた。
未舗装路をしばらく走り五時前に唐沢鉱泉に到着した。辺りはまだ日の出前で暗い。準備を済ませ腕時計の標高値を唐沢鉱泉1880mにセットして出発した。GPSで等高線を細かく確認しながら道を外さないように注意して歩く。まだ鳥の囀りもなく自分の足音以外は何も聞こえない。
未だ見ぬ日の出は少しずつ上がり始めているのか周りの景色もうっすらと見えてくる。一時間ほど歩いて六時を回ったころ太陽が尾根の方から差し込んできた。
薄暗い樹林が明るく照らされる。冷たい空気と暖かい日差し。山で心待ちにして迎える朝。日の光が肌に当たって暖かい。
森の中の植物も日の光を浴びて朝を迎えている。なんだか葉っぱも嬉しそうに見えた。一人で登る山は森の木々や動物、葉っぱや青空、なにより太陽がいちいち嬉しい。普段感じない自然の魅力に溢れている。だからまた来たいとすぐに感じてしまう。
枯尾の峰からの道と合流して尾根に出た。そこからしばらく歩いて行くと一気に視界が開けた。遠くに南八ヶ岳の山並みがお目見えする。薄暗い森の中をずっと歩いてきたからなおさら爽快だ。南八ヶ岳の名峰がズラリ。赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳。来年は登ってみたい。写真が下手くそ過ぎて伝わらない。ものすごい壮大な景色。
西側には雲に覆われた茅野の町や南アルプスが一望できた。夜明け前の薄暗い森の中から明るい大展望の尾根に出るこの瞬間は思わず感嘆の声が出た。ここから西天狗岳に向かって再び樹林帯に入ってしばらく歩く。
西天狗岳登頂まであと一息。頂上直下の岩場を登る。
朝からの樹林帯歩きで登山靴もいい感じに汚れた。
岩場を登りきった後、ハイマツ帯を抜けて山頂へ。そこときの様子の1分動画をインスタグラムに貼り付けておいた。
北八ヶ岳最高峰、西天狗岳からの景色です。#北八ヶ岳 #西天狗岳 #登山
人生最高峰。2646m。
馬鹿でかい雲が目の前を流れていく。空が近い。
小腹すいたのでカレーメシを食う。これ、初めて食べたけどもなかなかいける。山で食うインスタントはなぜ何でも美味いんだろうか。
東天狗岳登頂。雲が広がりだした。
こっちは2640m。西より6mだけ低い。
最高の気分で東天狗を後にした。
延々と続く岩の路、天狗の奥庭を黒百合平に向けて山を下りて行った。
東に目を向けると二年前に立ち寄ったしらびそ小屋の屋根とみどり池が見えた。八ヶ岳はいつ来ても最高だ。
千代田湖へ
唐沢鉱泉に下山した。出発したときは真っ暗で何も見えなかったがとても紅葉が綺麗だ。
せっかくだから温泉に入って行こう。
この日の一番客だった。
千代田湖に向かう途中で昼ご飯。
諏訪の老舗ラーメン屋。
おススメはにんにくラーメンだったことを後で知った。ハルピンラーメンじゃなくて。どうでもいいがラーメンなら個人的には「くるまやラーメン」が一番好きだ。少年時代に東金市でよく食べていた。味は全く違うのになぜかそれを思い出した。
諏訪から高遠に向かう。およそ四十分ほどで千代田湖に着いた。
誰もいない。広い景色にぽつんと一幕。ラジオでは夜半から小雨の予報だ。
小雨と聞いてタープを張るか迷った。はっきり言って降りそうな気配はない。でも夜にタープを張るのは億劫なので念の為張ることにした。
パンダを設営した目の前に直火跡があった。よくみるとそこらかしこに同じような跡がある。キャンプブームの残骸が痛ましい。
炭は土には還らない。このままだとここは近いうちに利用できなくなるかもしれないなと思った。寂しい気分だ。
タープを張ったころに日が落ちた。
今回はピコグリル398。
焚き火道具箱オープン。
今宵の焚き火場。
ザクザクと薪割り。
薪割完了!
徐々に闇の帳が降りてきた。この笑'sのテーブル、なんか好きなんだよな。
湿った薪を五徳の上で乾燥。
ucoの灯りが今夜もいい感じ。
薪を焚べては甲州を呑み夜は更けていく。
静かな千代田湖の夜。バチッと爆ぜる火。
この日公開の文庫本を嗜みながらあまりの心地良さにウトウトしてしまった。
ふと半分眠りかけてた意識の向こうから自分を呼ぶ声がした。
「…さん。…さーん」
龍太郎だった。
そうか今夜は仕事上がりにここへ駆けつけると言っていた。お疲れ様である。
龍太郎はタトンカにムーンライト。ファイアボックスは新調したらしい。今夜は初火入れ。
無事に着火成功。おめでとう。
春の平湯以来半年ぶりの再会に乾杯!
アスパラとポテトのベーコン巻き。
千代田湖で焚き火。まったり。
今夜も満足な夜だった。
起床。
もう龍太郎は撤収して出勤したようだ。対岸までカメラを持って散歩。
薄く霧が立ち込めている。
少しずつ日が差してきた。
標高1200mの湖で迎える朝。
昨日は森の中で朝日を迎え今朝は湖のほとり。さあ朝飯にしよう。
今朝は「鬼うまい」らしいどん兵衛。
鬼まで行かないが美味かった。
珈琲を淹れて昨日の文庫本の続きを読む。
読破した後は
鴨を眺めて望遠で写真撮ってみたり
木材運搬車を撮ってみたり
最後に後ろからパンダ撮って
撤収開始。
ゆっくりできた。千代田湖、ありがとう!